アメリカ・シアトルの小さなコーヒー・ショップにすぎなかったスターバックスにイタリアのエスプレッソ・バールのエッセンスを持ち込み、そのコーヒーの品質と温かなサービス、徹底した顧客接点重視のブランディングにより、「カフェ=スターバックス」というカテゴリーを築き上げたのがハワード・シュルツである。
世界じゅうを席巻するプレミアム・ブランドに育て上げたのち、会長職に退いたシュルツが、金融危機を契機にCEOに再び就任。それまでの順調な拡大から一転、逆回転を始めた同社に、大胆な改革を推し進めて新たな成長軌道に乗せつつある。急激に巻き起こった消費者行動の変化、クリーンなイメージの同社を襲ったレピュテーション・リスク、ソーシャル・メディアへの取り組み、株主価値、新製品、後継問題と多岐にわたるテーマについて、反省と展望を語った。
再びCEOとして再生の指揮を執る
ハワード・シュルツがCEOを退いた2000年まで、コーヒー・チェーンのスターバックスは世界有数のブランドとして着実に成長していた。
Howard Schultz
スターバックスの前会長で、現在は2度目のCEOを務める。
8年後、同社は経済危機とみずからの戦略ミスにより業績が悪化。シュルツはCEOに返り咲かざるをえないと考えた。
かつてCEOを務めていた頃は目の前に前途洋々たる未来が開けていた。しかし今回、彼は自身が築き上げた会社の再生の先頭に立つという困難なミッションに立ち向かう。危機のさなかに再び指揮を執ることの意味は何か。
以下の要約済み、編集済みのインタビューでシュルツはそれを語った。