前回のコラム「仮想通貨の暗号が解読される安全性が脅かされるリスクがある」で、量子コンピュータが実用化すれば、現在、インターネットで使われている暗号が破られてしまうかもしれないと書いた。そうなれば、現在のコンピュータ・セキュリティが崩壊する危険がある。
それは、さまざまな面できわめて大きな影響を及ぼすので、われわれは量子コンピュータについて知っておく必要がある。
量子コンピュータを
どの程度、知っておく必要があるのか?
問題は、普通の人がどこまで知っている必要があるかだ。
われわれは日常的にコンピュータのキーボードから入力して文章を書き、編集している。分からないことがあれば、インターネットを検索して調べる。出来上がった文章を電子メールで相手に送る。
これらの操作を、ハードウェアのレベルまでさかのぼって、完全に理解している必要はない。そんなことに時間を使うよりは、むしろ使い方を習得するほうがよい。
ただし、うまい使い方をするためには、上記のメカニズムの概略を知っている必要がある。
量子コンピュータについても同じだ。
すべてを詳しく知っている必要はないが、ハードウェアがどうなっているのか、演算のためにどのような操作をしているのか、ソフトウェアの側面では、どのような操作をしているのか、どのような用途に使えるのか、等々について、最低限の知識を持っていることが望ましい。