福澤諭吉(=1万円札)をもらって、思わず涙した出来事

 私が30歳のとき、突然、手紙をいただきました。送り主は、以前、一緒に仕事をしていたものの転勤のため、数年間、連絡を取り合っていなかった先輩です。

 「久しぶりだけど、突然、どうしたのかな?」と思いつつ、中を開けると手書きの手紙と一緒に1万円札が出てきました。

 「結婚、おめでとう。お祝いを言いたくて手紙を書きました。また少ないけれど1万円は、気持ちです。奥さんには内緒で、へそくりにでもしてください」と書いてありました。

 先輩は、遠くに離れているにもかかわらず、私のことを気にしてくれていたのです。しかも、私の結婚話を人づてに聞き、お祝いまで贈ってくれました。

 私は、自分からお世話になった方に結婚の報告をしなかったことを恥じながらも、ずっと疎遠になっていた方が、私の結婚話を聞きつけ、わざわざ手紙とお祝いのお金を送ってくださった気持ちと気遣いにうれしくなり、目頭が熱くなるほど感激しました。

 人の心を一生つかむ「福澤先生理論」

 私はこの1万円のお祝いをいただいてから、ある疑問をいだくようになりました。

 それは「同じようにお祝いの1万円をいただいた方は複数いた。でも、ある人にはものすごく恩義を感じるのに、ある人は、それほど恩義を感じない」ということです。

 大変失礼な話と思いつつも、どうしてもこの疑問が頭に残りました。

 なぜ同じ1万円のお祝い金なのに、重みや価値に違いを感じるのか?

 私の結論は「意外性」でした。

 たとえば、ホテルの披露宴に誰かを招待した際にいただいたお祝い金には、ある意味、もらって当然と私なら思ってしまいます。

 ところが、披露宴に招待していないにもかかわらず、「おめでとう」とお祝い金をくれた人がいたら、この人は私のことをすごく大切に思ってくれていると自然と感じてしまうものです。

 意外性1つで、同じ金額でも相手の受け取る印象は180度変わるのです。

 また、意外なタイミングで恩をくれた方は、いつまでも記憶に残り、もしその方に何かあれば、必ずお礼をしなければと強烈に意識するようにもなります。

 私はこの経験以降、結婚や出産などのお祝い情報を聞きつけるたびに、縁の濃い薄いに関係なく、福澤諭吉先生を贈るようにしました。

 おかげで「本当にうれしいです」という言葉もいただけ、また私が誰の助けも借りられないときに、以前、福澤諭吉先生を贈った人から救いの手を差し伸べていただき、何度もピンチを切り抜けました。ことわざの通り、「情けは人の為ならず」を実感しています。

 「つむじ理論」と「福澤先生理論」をマスターすれば、第一印象から人生の節目のインパクトまで、印象度を効果的にあげることができ、乗数効果で4倍のコラボ効果があると私は確信しています。 

2011年8/25付「東京スポーツ」より
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後田良輔(うしろだ・りょうすけ)
1972年生まれ。「絶対に失敗しない気配りのツボ」を超具体化し、累計30億円以上稼ぐ、現役大手広告代理店のスーパー副部長。新人時代は、社外から「空気が読めない広告費ドロボウ」、社内では居眠りばかりで「メトロノーム」と呼ばれる。 プライベートでも23歳まで童貞。やがてうつ状態となり、半年間社会人をリタイア。その後、デキる社員の行動を2000時間観察し、夜の街に3000万円を投資。ぜんぶ3秒でできる「ぶっちぎり理論38」を開発。見えない気配りの見える化に成功し、 業界平均の1000倍に当たる新規扱い10億円の案件や世界連合企業から15億円のプロジェクトを獲得。また、「KHA(こんなの はじめて ありがとう)理論」で、女性にモテはじめ、5人同時に告白されるようになる。