部下の考えを尊重しない
紋切り型の声かけはアウト

「早く帰れと言われて、何が不満なのだ」「ああ言えば、こう言う、屁理屈を言うな」…と思う上司もいるかもしれない。しかし、部下から見れば、これほど神経を逆なでするフレーズはない。

 人はその性格や志向によって、どこに「モチベーションファクター」(意欲が上がる要素)があるかが異なっている。私は、大きく分けて6つのモチベーションファクター、「目標達成」「自律裁量」「地位権限」「他者協調」「安定保障」「公私調和」があると考えている。そして、先ほど挙げた部下たちのリアクションは、この各モチベーションファクター型の人たちの意見を同じ順に並べたものだ。

 例えば、「目標達成」のモチベーションファクターを持つタイプの人は、早く帰宅するのではなく、目標達成にこだわっている。一方、「自律裁量」型の人は、帰る時間も自分で決めたいのだ。

 つまり、「早く帰れ」という上司の紋切り型のフレーズは、部下のモチベーションファクターに沿っていないのだ。仮に、上司が心の内で部下を労う思いがあったとしても、一律のそのフレーズは、「俺は人事から指示されたように掛け声をかけているからな」というアリバイ作りにしか聞こえないし、「あとあと面倒だから、早く帰れ」という責任逃れにしか聞こえなかったりする。

 営業の分野では今時、押し売りをする人は、とんと少なくなった。顧客ニーズを聞いて、各々の顧客ニーズに照らした商品やサービスの選択肢を提示する売り方をする営業マンが多くなった。

 しかし、マネジメントの分野では、「時間だぞー」「早く帰れよー」とマネジメントの押し付けがいまだに蔓延している。上司という権威を笠に着て、「部下は上司の言う通りに従えばよい」という間違った思い込みから逃れられない上司が多すぎる。