世界的にも常識になっている
受動喫煙による子どもの健康被害

「この子は中学生なので、自分でどうにかSOSを発することができましたが、小さな子どもは声を上げることすらできません。この構造は児童虐待とまったく同じ。そこで、小児科医の先生などの協力を得ながら条例案をつくって、いろいろな自治体や厚労省に掛け合ったりしました。そのなかで、小池都知事と話をする機会があって『ぜひやりましょう』ということになったんです」(岡本都議)

「受動喫煙と児童虐待を一緒にするな」という愛煙家のみなさんの怒声が飛んできそうだが、残念ながら「受動喫煙=子どもの健康被害」を裏付けるようなエビデンスが世の中にはあふれており、圧倒的に不利な状況なのだ。

 たとえば、日本循環器学会のサイトに詳しいグラフが掲載されている「喫煙と乳幼児突然死症候群との関係」(厚生省心身障害研究、1998)という研究では、両親とも非喫煙者の乳幼児に対して、両親とも喫煙者の乳幼児が突然死をする確率はなんと4.7倍に跳ね上がる、という衝撃的な結果が出ている。

 今回の条例制定を支持し、自身もさまざまな小中学校で禁煙教育をしている尾崎治夫・東京都医師会長も、子どもへの「被害」を懸念しているひとりだ。

「喫煙者の親がいる子どもが気管支炎をこじらせたり、風邪が長引いたりというのは小児科医の間では常識。産業医大の大和浩教授の調査でも、運転席でタバコを吸っていると、後部座席にいる子どもは、中国・北京の7倍くらいPM2.5を吸い込んでいるということがわかっている。こういう事実をしっかりと説明すると、『うちの子どもはそんなに受動喫煙の害を受けているのか』とタバコを控える親御さんも多いのですが、なにしろほとんどの喫煙者の方は知らない。そういう意味では、今回の条例がいい『気づき』の機会になるのではないかと期待しています」