松下幸之助が語る「お金が寄ってこない人」と「自然と集まる人」の決定的な違いPhoto:SANKEI

今でもなお、日本のビジネスマンの憧れの人物として人気を誇るパナソニックグループ創業者・松下幸之助。しかし、彼は莫大な富を築いたにもかかわらず、「人を豊かにするのはお金や財産ではない」と考える。松下が実践していた、自然にお金がついてくる働き方とは?※本稿は、実業家の松下幸之助『松下幸之助選集7 仕事の夢 暮しの夢/物の見方 考え方』(PHP研究所)の一部を抜粋・編集したものです。

良い習性を身につけることが
のちの人生を豊かにする

 われわれの若い時と、今日ではものの考え方からしてひじょうな違いがある。もちろん違うのは当然であり、また違わなければならぬと思うが、その違いかたが、あまりにも激しいようだ。

 私は旧弊な人間だが、私の青年時代には、終始、勤勉努力ということを教えられた。青年から勤勉努力をとったら一体何が残るのか、青年なればこそ、それが大いに要請されるし、また勤勉努力できるというのが、人生の1つの鉄則でもあった。

 それが世の中の初めであると教えられたものだ。物語でも芝居でも、映画でも、必ずそういうことが織りこまれていた。

 ところがこのごろ、そんなことをいったら、若い人たちから或いは叱られるかもしれない。

 しかしながら、私が考えるのに、今日実社会を見ると、やはり、勤勉努力がなされている。商売人といわず、商店といわず、会社といわず、勤勉努力するところがやはり伸びている。

 言葉の上では、勤勉努力というようなことは、あまりいわないけれども、実際の社会は勤勉努力によって動いているし、そういうことによって、みな伸びている。そうなると、やはり今の若い人たちにも、勤勉努力を説かなければならぬという感じが起こってくる。