引き続き、欧州の債務危機をめぐって一喜一憂する展開となっています。しかし、それもそろそろ終わりに近いのかもしれません。
悲観論継続で「安全資産」買いとなるのか、楽観論が広がって「安全資産」売りとなるのか、決着のときが近づきつつあるのではないでしょうか?
悲観論から楽観論への転換はどのように起こる?
悲観論から楽観論へ転換していく過程では、基本的に、株と金利が上がります。ただ、それが超悲観論から転換する場合、金利上昇が一筋縄のものにはならないということは、何となく想像できるところです。
絶望的な悲観論が転換する局面では、しばらく悲観論と楽観論が交錯します。
「良くなってきた」として金利が上がるわけですが、「そんな簡単に良くならないだろう」として金利が下がり、そのような一進一退がしばらく続きます。そして、かなり時間が経ってから、すでに局面が転換していたことが広く認識されるわけです。
それでは、そのような絶望的な悲観論からの転換は、どのように展開するのでしょうか? それについて、「100年に一度の危機」が転換していく過程での米国金利の上昇を例にとって確認してみたいと思います。
「100年に一度の危機」における米国の長期金利(10年債の金利)の大底は、2008年12月18日でした。そこから金利上昇が始まったのですが、再び金利が低下すると、「2番底」をその8営業日目に記録しました。
そして、あらためて金利は上昇したのですが、「悲観論」への揺り戻しが起こると、その19営業日目に「3番底」を記録したのです。
このように見ると、「100年に一度の危機」が転換し、米国金利の上昇が鮮明になるのは、カレンダー的には、1ヵ月程度の楽観論と悲観論の交錯による一進一退の後だったのです。
「3番底」が確認できれば、相場が反転する可能性は高い
さて、欧州の債務問題などを理由に世界経済への絶望的な悲観論が広がった中で、史上最低を更新して低下してきた米国の長期金利ですが、これまでのところ、底打ちした形となっているのは9月22日(木)です。
それから上昇に転じた米国の長期金利の「2番底」は、「資料1」のように7営業日目に記録しました。そして、19営業日目が10月19日(水)でした。
資料1
前述のように、「100年に一度の危機」に伴う超悲観論からの転換局面では、まさに19営業日目に「3番底」を確認した後、楽観論への転換が一般化するところとなったのです。
その意味では、今回、もし超悲観論からの転換が始まっているとしても、このタイミングで悲観論への揺り戻しが起こるのは、理屈抜きで「そんなもの」ということなのでしょう。
そして、このタイミングでも米国の長期金利が2%を大きく割り込まず、数日以内に反発へ転じて「3番底」を確認したら、いよいよ楽観論への転換が一般的に認識されるのかもしれません。
もちろん、ここで「3番底」を確認できなければ、まだ超悲観論が続いているということになります。
いずれにしても、足元はそのような重大局面に差し掛かっているということになりそうです。
豪ドル/米ドルの上がり過ぎ懸念はかなり修正された
さて、夏以降に金融市場で悲観論が広がり、リスク回避が拡大したため、通貨のリスク資産と位置づけられている高金利通貨も一時急落しました。
ただし、この結果、高金利通貨の割高感はかなり修正されたようです。
悲観論が続いて「100年に一度の危機」が再来しないかぎり、さらなる高金利通貨の下落の可能性は限られると思うのですが、はたして、どうでしょうか?
豪ドルの対米ドル相場で5年移動平均線からのカイ離率を見ると、一時は3割近くまで拡大していました。これは「資料2」のように、経験的に、上がり過ぎ懸念がかなり強いことを示すものでした。
その意味では、一時1.1ドル台まで「豪ドル高・米ドル安」となった動きは、行き過ぎだった可能性がありそうです。
資料2
ただ、9月末に豪ドルが1ドルを大きく割り込んだところで、このカイ離率は1割程度まで縮小しました。その意味では、対米ドルでの豪ドルの上がり過ぎ懸念はかなり修正されたと言えそうです。