
話題となっている金価格の上昇
何らかの異変を懸念したものか
金価格の上昇が話題になっている。それは投資対象としての関心の高さを反映しているだけでなく、「何か」異変が起きるのではないかという懸念を示しているのかもしれない。
昔から「景気の銅、安全の金、投機の銀」と言われる。銅はドクター・カッパーとも称され、世界経済の動向を映す指標とされる。金は安全資産として金融市場の不安を反映する。銀は金の価格変動に対し、より激しい値動きをする傾向がある。
では「何か」とは何だろうか。70年代に起きたようなインフレの再燃だろうか。米国政府の債務急膨張により米国の財政が持続不可能になる懸念か。あるいは、米中対立が世界経済の体制を歪める可能性か。そして最近、特に注目されているのがトランプ米大統領の「アメリカ第一主義」政策によって世界経済の安定が揺らぐのではないかとの懸念だ。
加えて、妙な噂も出ている。米国政府が保有する金の大部分はケンタッキー州のフォートノックス(Fort Knox)に保管されている。また、世界各国が保有する金の多くはニューヨーク連銀やイングランド銀行の金庫に保管されている。
しかし、そこに本当に公称通りに金が保管されているのか疑問の声が上がっている。というのも、これらの金庫は非常に長い間、外部による監査がなされていない。ひょっとすると、日本の某メガバンクの貸金庫と同じ状態かもしれない。
これは単なる冗談ではない。イーロン・マスク氏が率いるDOGE(ドージ)がフォートノックスの監査を提案する可能性は十分にある。そして、仮に問題が発覚すれば厄介な事態を招くかもしれない。こうした状況を背景に「フォートノックスに本当に金はあるのか?」という賭け市場(Gold missing from Fort Knox?)まで登場している。