経営×ソーシャル
ソーシャルメディア進化論
【最終回】 2011年10月25日
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武田 隆 [クオン株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者]

【最終回】
ソーシャルメディアと希望ある未来

ばらばらになる自由、つながる自由

 近代社会以前の人々のつながりは、西洋では地理的なつながり、職業別のギルド、教会、日本では荘園、ムラ、五人組、藩などに束縛されていました。しかし、近代になって人々が自由を求めるようになると、国家と個人の間にある、中間的な団体を徹底的に破壊する動きが強まりました。

 東京大学名誉教授の樋口陽一先生の指摘するところによれば、人々が「つながる自由」、すなわち、結社の自由を得る一段階前に、「ばらばらになる自由」、「結社からの自由」があったということになります。

 しかし、人々はいったん「ばらばらになる自由」を手に入れた後は、急激につながる自由を求めていきました。

 明治維新は、藩というつながりを否定して、自らの志を持った人たち、即ち、志士たちが自ら、「尊皇攘夷」という新しいテーマにしたがってつながることで実現しました。テーマをもとにつながっていくということは、今の日本の社会を創り出す原点にもなっているのです。

 また、アップルはアメリカ企業ではありますが、その精神はアメリカよりも日本でより広がったとも言えます。ジョブズがアップルを去り、アップルが最も厳しい時代、マイクロソフトからの支援でなんとか生き残っていた時代。そんな時代においても、アップルがシェアを大きく落とすことなく、熱狂的なファンがアップルに踏みとどまっていた国は、他ならぬ日本なのです。

 私は、世の中の通説と異なるかもしれませんが、日本こそ、多様な価値観が存在している国であり、そうであるがゆえに、その価値観を通じて、人々が緩やかなつながりを持っていく、企業コミュニティの考え方に最も親和的な国なのではないかと感じています。

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武田 隆(たけだ・たかし) [クオン株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者]

日本大学芸術学部在学中の1996年、前身となるエイベック研究所を創業。クライアント企業各社との数年に及ぶ共同実験を経て、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する「消費者コミュニティ」の理論と手法を開発し、複数の特許を取得。その理論の中核には「心あたたまる関係と経済効果の融合」がある。システムの完成に合わせ、2000年同研究所を株式会社化。その後、自らの足で2000社の企業を回る。これまでに森永乳業、ライオン、資生堂ジャパンをはじめ、300社超のマーケティングを支援。ソーシャルメディア構築市場トップシェア(矢野経済研究所調べ)。2015年、ベルリンと大阪に支局を開設。著書『ソーシャルメディア進化論』は松岡正剛の日本最大級の書評サイト「千夜千冊」にも取り上げられ、ロングセラーに。また、CSR活動の一環としてJFN(FM)系列ラジオ番組「企業の遺伝子」のパーソナリティも務める。1974年生まれ。海浜幕張出身。


ソーシャルメディア進化論

花王、ベネッセ、カゴメ、レナウン、ユーキャンはじめ約300社の支援実績を誇るソーシャルメディア・マーケティングの第一人者、エイベック研究所の代表取締役 武田隆氏が、ダイナミックに進化し続けるソーシャルメディアの現在と未来に独自の視点から迫る!

「ソーシャルメディア進化論」

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