企業が自社サイトにソーシャルメディアを組み込み、顧客との関係構築を行う「企業コミュニティ」施策は、いま最もホットで先進的なマーケティング手法のひとつだ。
では、活性化させることに成功した企業コミュニティはどれほどの経済的効果をもたらすのだろうか? 筆者自身が行ってきた約300社の事例をもとに、ソーシャルメディア・マーケティングの最前線を見ていこう。

【第1回】「ソーシャルメディアは死んだ」と言われる日は近い…?」から読む
【第2回】「ソーシャルメディアとサクラの微妙な関係」から読む

【第3回】「「2ちゃんねる」は永遠に不滅?!」から読む
【第4回】「ソーシャルメディアが浮き彫りにする個人の孤独」から読む
【第5回】「ソーシャルメディアが無縁社会を生み出す?」から読む
【第6回】「ザッカーバーグに異議あり! フェイスブックが掲げる「実名主義」では社会は幸せになれない」から読む
【第7回】「企業のソーシャルメディア活用の天国と地獄」から読む
【第8回】「ソーシャルメディアはブランドの本質の映し鏡」から読む
【第9回】「ネットの炎上は「空気」で止めろ!」から読む

ソーシャルメディア・マーケティングの最前線
「企業コミュニティ」

武田隆(たけだ・たかし)エイベック研究所 代表取締役。日本大学芸術学部にてメディア美学者 武邑光裕に師事。「日本の伝統芸術とマルチメディアの融合」を学ぶ。1996年、学生ベンチャーとして起業。企業のウェブサイト構築のコンサルテーションを足掛かりに事業を拡大し、多数の受賞を得るも、企業と顧客の距離が縮まらないインターネットサービスの限界に悩む。クライアント企業各社との数年に及ぶ共同実験を経て、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する「企業コミュニティ」の理論と手法を独自開発。その理論の中核には「心あたたまる関係と経済効果の融合」がある。システムの完成に合わせ、2000年同研究所を株式会社化。その後、自らの足で2000社の企業を回る。花王、カゴメ、ベネッセなど業界トップの会社から評価を得て、累計300社にシステムを導入。当ドメインでは日本最大。コミュニティには60万人を超える消費者が集まる。1974年1月生まれ。海浜幕張出身。

 企業は本当に、ソーシャルメディアを活用することができるのでしょうか? この問いかけは、「企業はソーシャルメディアを収益化できるのか?」というテーマにつながります。

 企業が自社サイト(オウンド・メディア)にソーシャルメディアを組み込み、顧客との関係構築を行う「企業コミュニティ」施策は、現在、企業がソーシャルメディアをマーケティングで活用しようとする際の最も先進的な手法です。

 では、この企業コミュニティを使った収益化の状況を覗いてみることにしましょう。

 この連載では、私が実際に触れた300社の事例をもとに、企業と顧客の関係構築の最前線にあなたをお連れしようと思います。

 紹介する事例は借り物をいっさい使わず、私たちが実際に実施した結果を披露することにします。「正しく顧客を支援する会社が勝つ」といった身も蓋もない不毛な抽象論に陥らないようにするため、自分の足で回り、自分の目で見て、自分の耳で聞いた状況を足場にして、企業が抱える事情や難しさを踏まえ、その複雑な現状から逃げないよう話を進めていきたいと思います。