リスクを冒してでも
チャレンジすること

桑野:いまは確かに不景気が続いている時代ですが、30代の人が何かやろうというときに、周りも「やめなよ」なんて言う傾向があると思いませんか?

大塚:ありますね。リスクを冒す以前に、そもそもリスクをかけてやりたいと思えるものがない人も多い。いまの状況だと、上には40代の人たちがすでに詰まっているんですよ。大手企業の場合だと、若い人たちがチャンスをもらうためには、20年くらいかかりますから、その20年の間に宮仕えしていて、「俺は何をやりたくてこの会社に入ったんだっけ」と、やりたいことを忘れてしまっている。

大塚寿さん

 そうすると、若い人たちに対して、「まあまあまあ、そんなこと言ったってやるまでに時間がかかるんだから、ひととおり普通にやっときゃいいんだよ、俺たちサラリーマンなんだから」などと言って、出ようとする杭を打つことがありますね。あるいは、もう競争が激しくて激しくて、そんなことを考える余裕もないぐらいに疲弊している場合もあります。

桑野:みんな、疲れているんでしょうか?

大塚:疲れていますよね。組織がフラットになって、一人のマネジャーが10人以上のメンバーを見なくちゃいけないなんていうこともあるけれど、実際にはそんなことはできないですよね。結局、部下とのやり取りも雑になって、人を育てる余力も残っていない。そうすると、組織自体が疲弊しちゃって新しいことに挑戦しようという風土は育ってこないですよね。

 でも、やっている仕事が本当におもしろければ、また別のモチベーションが生まれるんですよ。どんなに疲弊したって、今度はこれをやろう、次はこうしてみようというやる気が生まれるわけです。

桑野:そういう意味で、大塚さんのおっしゃるように、やはり自分のやりたいことを職業にするのが一番いいですよね。僕は、好きなことを仕事にするということだけは決めていて、音楽好きだからリアルネットワークス、リッスンジャパンをやって、当時、バツイチの独身だったんで、世界最大の結婚紹介サイトであるマッチ・ドットコムジャパンの社長をやって、洋服好きだからギルトの社長をやって、そして今は独立してファッションの仕事をやっている。音楽と洋服と恋愛。好きなことを仕事にできているのは、すごく幸せだなと思います。「好きなことだけやろうぜ」と言いたい。

大塚:そうですよね。いまの30代で大手企業で働いている人で、本当に好きな仕事をしている人なんて実際には少ないのかもしれませんね。そういう人には、仕事のなかにおもしろさを見い出してほしいと思いますが、何かコツとかってありますか?

桑野:確かにみなさん、つまらない仕事でも、そのなかにおもしろさを見つけようとかおっしゃいますけど、僕は、つまらない仕事をするんじゃなくて、いかにおもしろい仕事をするかを考えるほうがいいと思います。つまらない仕事はやっぱりつまらないですよ。僕の場合は、単純な仕事が嫌いなので、おもしろいこと、毎日変わることをやっていきたいと思っていますね。

大塚:最後に、いまの30代のビジネスパーソンに対して何かアドバイスはありますか?

桑野:やはり恐れることなくリスクを冒してでもチャレンジしようよ、ということですね。そして、リスクを冒してチャレンジしようとしている友だちに、みんなで寄ってたかって「やめろよ」と言うのではなく、「応援しようよ」と思いますね。

大塚:なるほど。30代への含蓄あるメッセージをいただきました。ありがとうございました。

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 【特別対談の日程
●第1回:「藤原和博×大塚寿」(前編)
●第2回:「藤原和博×大塚寿」(後編)
●第3回:「川北義則×大塚寿」(前編)
●第4回:「川北義則×大塚寿」(後編)
●第5回:「桑野克己×大塚寿」(前編)
●第6回:「桑野克己×大塚寿」(後編)
●第7回:「渡辺佳恵×大塚寿」(前編)(11/10)
●第8回:「渡辺佳恵×大塚寿」(後編)(11/11)