米国では、白熱した大統領予備選挙が終わり、党の指名を獲得した民主党のバラク・オバマ候補と共和党のジョン・マケイン候補が、11月の本選挙に向けて火花を散らしている。そんな折、日本では福田康夫首相が突然の辞任を表明し、世間を驚かせた。これにより、奇しくも日米両国では、次のリーダーを決める選挙戦がほぼ同時期に行なわれることとなった。
今回選ばれる両国の新しいリーダーが、就任直後から予断を許さない状況に置かれることは間違いない。その後も在任期間中を通じて、とてもではないが安穏な時間を過ごすことはできないだろう。厳しい経済環境下で幾多の苦難を味わうことが予想されるからだ。
現在、過去数年間続いた世界経済の高成長にブレーキがかかり始めている。むろん、日本も米国も例外ではない。今後景気後退が一段と鮮明化すると、両国は厳しい経済状況と向き合わなければならない。
わが国は、2002年2月から始まった景気回復期が終焉を迎え、すでに後退期に入っている。かたや米国も、「IT(株式)バブル」「住宅バブル」によって繋いできた好景気が崩れ去り、経済活動が調整入りした。このような状況で、各々が抱える諸問題の解決を目指すことは、口で言うほど容易なことではない。
このような経済状況と、新しいリーダーの選出のタイミングが重なることは偶然の産物ではなく、むしろ新リーダーの下で経済再生を求める「歴史の必然」と考えた方がよいのかもしれない。
日米両国は、世界で相応のプレゼンスを持つ。特に、経済的な重要性は高い。その両国が今後、どのように経済を復調させるか、あるいはもっと長い目で見たメリットを求めて、経済構造をどのように変革させていくかに、世界の注目が集まっている。奇しくも訪れた「日米ダブル首脳選挙」によって選出される新しいリーダーを待ち構える課題と、それに伴う経済構造の変化を考えてみよう。
住宅バブルの後始末に追われる米国
「新しい経済モデル」確立も課題
まずは米国の新大統領が背負う課題だ。足元の米国経済を一言で総括すると、最も憂慮されるのは、「住宅バブル」の後始末に奔走しているという状況である。依然として明確な出口は見えない。現状は、「解決までの道のりの5合目程度」と考えるべきだろう。サブプライム問題の元凶である住宅価格には下げ止まりの兆候が見えず、むしろ足許では下落幅が拡大している有様だ。
今後、住宅価格の下落によって住宅ローンの延滞率はさらに上昇することが予想される。むろん、金融機関の経営状況は、これからさらに厳しくなる可能性が高い。米国では、すでに今年に入って10行の銀行が破綻した。今後はさらに中小銀行の破綻が増えるという見方が有力だ。
また、欧米の金融市場では、「大手投資銀行などの経営状況にも本格的な懸念が波及しつつある」との観測が出ている。当面、金融機関の経営悪化懸念が燻り、信用収縮が増幅されることになるだろう。