日本記者クラブ主催の党首討論会に臨む各党党首たち Photo:JIJI
食料品の消費税をゼロにするには、何を財源にするかが明確でなければ財政が悪化する。日本の国債の流通市場では財政悪化への懸念から「金利が急上昇」している。世界の投資家は、衆院選後を見通し、財政破綻リスクの上昇を警戒しているのだ。選挙の結果次第では、先行き不透明感の高まりから株安、通貨安、国債安(金利上昇)のトリプル安が起きる可能性は否定できない。日本経済を強くするために「本当に必要な政策」とは何か。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)
食料品の消費税ゼロ
経済の観点で効果は期待できる?
2月8日投開票の衆議院選挙に向けた各政党の公約の中で、最も注目されるのは「消費税率の引き下げ」だろう。そもそも今回の選挙は大義に疑問符が付く中、高市早苗首相は自身の支持率が高いうちに自民党の安定基盤を作ろうとしていると指摘される。
ところが、予想外に「中道改革連合」が発足し、食料品の消費税率(軽減税率)をゼロにする公約を打ち出した。高市首相および自民党も時限付きで、軽減税率ゼロの“劇薬”を持ち出さざるを得なくなった。
軽減税率をゼロにする政策は、経済の観点から見ると、必ずしも十分な効果は期待できない。消費者の行動にもよるが、約5兆円のコストをかけて、年間で数千億円程度の効果との試算もある。また、その効果は長くは続かないだろう。また、軽減税率がゼロになると飲食店の経営に影響が出ることも懸念される。
さらに問題は、減税の財源がはっきりしないことだ。財源のめどが立たないと、わが国の財政状況は一段と悪化する。有力格付け機関が、わが国の格付けを下げることも想定される。そうなると長期金利は上昇し、円安に歯止めがかかりにくくなる可能性がある。
今回の総選挙は、日本の将来に重要な影響を与えるはずだ。聞き心地のいい主張ではなく、地道に改革を推進する実力ある政治とは何か――。有権者はその認識を持つことから始まるだろう。日本経済を強くするために「本当に必要な政策」とは何か、考えてみたい。







