長野県の戸隠村から単身アメリカに乗り込み、ヒルトン、プラザホテル、創業期のリッツ・カールトンなど、アメリカの超一流ホテルで20年。一方で、夜はストリートバーに繰り出し、“アブナイ英語”で他流試合を繰り返してきた、前ザ・リッツ・カールトン・ホテル日本支社長の高野登氏。『リッツ・カールトンとBARで学んだ高野式イングリッシュ』を刊行直後の高野氏を直撃。
いよいよ、文法ハチャメチャでも「本当に使える!体当たり英語」の極意を語る5回連載の最終回! 「affect」と「effect」の違いばかり気にしていた高野氏は、どうやって英語をモノにしたのか?(構成:藤吉豊、撮影:橋詰芳房)
「affect」と「effect」の違いばかり気にしていた私
人とホスピタリティ研究所所長。前ザ・リッツ・カールトン・ホテル日本支社長。1953年長野県戸隠生まれ。ホテルスクール卒業後、単身アメリカに渡り、 20年間、ヒルトン、プラザホテルなどでホテルマンとして活躍。90年にはリッツ・カールトンの創業メンバーとともに開業に尽力。94年以降、日本支社長 として、大阪と東京の開業をサポート。日本にリッツ・カールトンブランドを根づかせる。
「ザ・キタノ・ニューヨーク」での私は、いわゆる何でも屋でした。インテリアを運んだり、レンガを敷いたり、キッチンでお皿を洗ったり、レストランの受付と会計をしたり。開業直後の小型ホテルでは、どこでもそんな感じです。
ケガを負って入院したバーテンダーに代わり、BARでシェイカーを振ったこともあります。
日本のホテルスクールでBARの基礎知識は学びましたから、「正しくカクテルをつくること」はできます。
でも、渡米したばかりの私には、「正しい英語を話す」自信はありませんでした。
「ニューヨークで仕事をする以上は、“正しい英語”を身につけるべき」と疑わなかった私は、BARを開けるまでのわずかな時間さえ惜しみ、日本から持参した参考書に目を通していました。
「そうか。『affect』は動詞で『effect』は名詞で……」とつぶやきながら英単語の参考書に目を通していると、スタッフの一人、メキシコ人のルイスが興味深そうに近寄ってきたのです。