「Taka-san, what are you reading? Let me see.」
(タカさん、何を読んでるの? 見せてよ)

  参考書を手渡すと、彼は目を丸くしながら、ひと言。

「Hell, what's this? Don't get it.」
(なんだこれは? 俺にはわからない!)

  さらにルイスは、

「So, you wanna know when to use affect and effect. For what?
  Don't tell me you gonna be a journalist, Taka.」

(「affect」と「effect」の使い分けを知りたいだって? 何のために? タカ、まさか、新聞記者にでもなるつもりかい?)

  と続け、冷やかし半分に笑いました。
  当時の私はまだ、「参考書(教科書)に書かれている英文(英単語)を覚える」のが正しい勉強法だと思い込んでいました。
  日本の英語教育は、基本的には「受験英語」です。
「日々の生活や仕事のなかで、英語を活かす(使う)」ことよりも、英単語やイディオムを暗記して「知識量」を増やすことに注力する。ですから私も、「affect」と「effect」の違いにも目を向けようとしたのです。

英文法はこだわらない!

  英単語の微細なニュアンスにこだわりすぎると言葉が出てこなくなります。
  それよりは、会話のなかで実際に使いながら、体で覚えるべきなのに、多くの日本人は「その違いがわからないと英語を使うことはできない」と決めつけているようです。
  几帳面で真面目な日本人は、英文法の教科書を隅から隅まで読み、5文型も、動詞も、助詞も、時制も、不定詞も、受動態も、関係代名詞も、現在完了も、すべて完璧に覚えなければ、「英語は話せない」と思っています。

  文法の理解度のレベルを仮に「10段階」で表したならば、英語の専門家になるのでなければ、レベル「10」やレベル「9」を目指す必要はないと思います。
  レベル「1」でもレベル「2」でもいいので(目安は中学校英語レベル)、まずは、話してみる。
  英文法の正しさにこだわらず、自分の心のなかに浮かんだ表現をそのままストレートに伝えてみることです。