前ザ・リッツ・カールトン・ホテル日本支社長で、 11月11日に『リッツ・カールトンとBARで学んだ高野式イングリッシュ』を刊行した高野登氏は、ホテルスクール卒業後、単身アメリカに乗り込んだ。ヒルトン、プラザホテル、創業期のリッツ・カールトンなど、アメリカの超一流ホテルで20年。ホテルマン歴は計35年。その一方、夜はストリートバーで“アブナイ英語”を駆使してきた。
日本でも相当稀有な経歴の高野氏しか語れない、文法ハチャメチャでも「本当に使える!体当たり英語」の極意を語る5回連載の2回目。超一流ホテル(表の英語)からストリートバー(裏の英語)まで、舞台裏ではどんな会話が繰り広げられているのか? 今回は、高野式「回文」の極意だ。(構成:藤吉豊、撮影:橋詰芳房)
バカ話をしながら、相手の感性を刺激
「ホテルマンの舞台裏について聞かせてください。
リッツ・カールトンのようなホテルのスタッフは、ふだんどのような会話をしているのですか?」
講演会で、このような質問を受けたことがあります。私の答えは、こうです。
「きわめて普通の話をしていますよ(笑)」
私が「ザ・リッツ・カールトン・サンフランシスコ」の開業に携わっていたときは、スタッフ同士で「回文」(前から読んでも後ろから読んでも同じ音になる文句)を披露し合ったり、「日本語と英語のささいな違い」について話したりしました。
たとえば、
「英語では、『ladies and gentlemen』と言うけれど、日本語では『紳士淑女』と言う。『淑女紳士』とは言わないんだ。『black and white』は『白黒』だし、『near and far』は『遠近』。『hot and cold』は『寒暖』。どうして入れ替わるんだろう?」
入れ替わる理由は、誰にもわかりません。でも、
「I see, that sure is interesting.」
(なるほど、確かに面白いね)
「I'll be damned!」
(こいつは驚いた!)
「I think it's worth asking a professor next time.」
(今度、大学教授に聞いてみる価値があると思うよ)
とバカ話をしているうちに、「ものの見方」が刺激されたり、文化の違いについて思いを馳せることができたのです。
「回文」は、英語を楽しむ方法の一つ
英語上達のコツは一つしかないと思います。
それは、「楽しんで学ぶ方法を探す」こと。それには回文はピッタリだと思います。
ご存知のとおり、回文は前から読んでも後ろから読んでも、同じように読める語句や文章のことです(日本語では「たけやぶやけた」「しんぶんし」「たいやきやいた」など)。
英語にも、日本語と同じように、さまざまな回文があります。
簡単なものでは以下のようなものです。飲み会のちょっとした披露ネタにはもってこいだと思います。こうやって英語に対する距離感をなくしていくのがいいでしょう。