日本が交渉の推進役となって、発効する見込みとなったTPP。米国抜きとなったため意味がないとの主張も聞かれるが、久留米大学商学部の塚崎公義教授は「締結の成果は大きい」と訴える。
米国が不参加となったTPPは、米国抜きの11ヵ国で発効する見込みとなった。米国が主張する20項目は凍結した上で、おおむね従来合意されていた内容で大筋合意したとの閣僚声明が11月11日に発表され、早ければ2019年の発効となる模様だ。
米国が抜けた後、日本が交渉の推進役となってまとめたとも言われている。対米追随ではなく、日本が独自外交を繰り広げたこと、そして自由貿易を推進する姿勢を世界にアピールできたことなどの外交上の成果は、特筆に値するだろう。
細かな内容は各種報道に任せるとして、本稿では経済学的に見たTPPのメリットとデメリットなどについて考えてみよう。
途上国との間であっても
国際分業は双方にとって得
TPPは自由貿易協定であり、お互いに輸入を自由化しようということである。その基本的な考え方は、「お互いが得意な物を作って交換するという国際分業が、お互いのメリットになる」という、経済学の基本的な考え方に立脚している。何を作っても日本に及ばないような途上国との間でも、国際分業を行う意味はある、というのである。