11月5日にいよいよトランプ大統領が日本を訪れる。その主たる目的である北朝鮮への対応協議は米国政府にとっても最重要な課題であり、相当に熱のこもった外交になると思われる。一方で日本は、対北朝鮮では米国の軍事力や対中外交戦略に依存せざるを得ず、「安保」の見返りとして、貿易自由化や為替(円安)問題などを持ち出されれば、米国の要求に「受け身」にならざるを得ないことになる。
「安保」の見返りに
対日貿易赤字改善を迫る可能性
今回のアジア歴訪は、日本を皮切りに韓国、中国、ベトナム、フィリピンと5ヵ国を1週間で飛び回る慌ただしいスケジュールだが、日本では拉致被害者の家族との面談や駐在米軍視察の予定が組まれており、北朝鮮を強く意識した訪日になることが予想されている。
だが、貿易収支問題に執拗な執着心を寄せるトランプ大統領は、北朝鮮問題を最優先に置きつつも「日米間には解消すべき経済問題がある」との方針を強調することも忘れないだろう。
金総書記に対する強硬な姿勢を採ることで日本の安全保障を確約する見返りとして、暗に防衛費の拡大を求めるだけでなく、なかなか縮小しない対日貿易赤字の改善を迫ることは確実だ。