第2位:
新時代のイノベーション手法を学べる『デザインの次に来るもの』

 これまでにないイノベーションの視点が得られる一冊だ。

 一般的にイノベーションのための思考法といえば、米国のシリコンバレーを席巻する「デザイン思考」がよく知られる。だが、ヨーロッパでは現在、それに加え「デザイン・ドリブン・イノベーション」というアプローチが注目されているという。

「意味のイノベーション」を引き起こすとされるこのアプローチは、イタリアのミラノ工科大学ロベルト・ベルガンティ教授らが提唱したもの。EUのイノベーション推進プログラムにも採用されているという。

 意味のイノベーションは、視点を変えることで生まれる。斬新な新技術を開発するのではなく、「すでにあるもの」に対し、異なる視点からの「新しい意味」を付与するのだ。たとえば電気のない時代、ロウソクには「夜間に生活のための灯りを照らす」という「意味」があった。しかし電灯が普及すると、その意味は必要なくなる。しかし、ロウソクには、インテリアとしてムードを演出するキャンドルとしての「意味」が付与された。

 イノベーションを起こせるか否かは、グローバルな大企業にとって国際競争力を維持する上で死活問題といえる。だが、具体的にどうすればいいか、という情報はなかなか得づらいのではないか。成功企業の事例研究は行われているだろうが、基本的なアプローチの方法は知られていないようだ。

 本書のテーマである「意味のイノベーション」にしても、実践している企業はもちろん、その存在に着目している人すら、今の日本企業には少ないと思われる。

 「意味のイノベーション」は、ローコストであることも大きなメリットだ。その意味で、大胆な新規事業投資を積極的に行なわない傾向がある日本企業に適した方法論なのだろう。

 イノベーション手法に関する書籍は、SERENDIPでよく読まれている。なかでも理論と具体事例のバランスが取れた書籍に人気があるようだ。その点で、本書が上位に入ったのもうなずける。