今後も進む
シェアリング経済と企業戦略

 2018年には、ライドシェアとタクシーの配車サービスの世界最大手である、中国の“滴滴出行”(ディディチューシン)がわが国に進出する。過疎地域や観光地でのライドシェアへの潜在的な需要をはじめ、国内でシェアリングエコノミーが浸透できる分野は多い。今後も、モノなどをシェアする機会は増えるだろう。

 一方、シェアリングエコノミーが拡大することには、経済にとってマイナス面もある。シェアするということは、消費者がモノを購入しなくなる。製品が購入されず共有されることが増えれば、その分、販売数量は減少する可能性が高い。それは、個人消費の減少につながる。

 また、シェアリングに加えて、使わなくなったモノを再利用する方法も増えている。例えば、ネット上のフリーマーケットで、不要になったモノを売ることができれば新品を買うよりも安い価格で物が手に入る。それには大きなメリットがある一方、新品のモノの価格は上昇しづらくなるだろう。

 とはいえ、マイナス面ばかりではない。消費者はモノを買うための支出を減らした分、その他の分野にお金を使うことが可能になる。シェアすることで浮いたお金が、語学学習などに使うケースも増えるはずだからだ。

 問題は、支出が減っただけ貯蓄が増えてしまうと、消費のすそ野が広がりづらいことだ。それが続くと、経済の停滞への懸念が高まるだろう。

 理論的に考えると、消費者がシェアすることによって余ったお金を、好きな分野に支出するような消費行動を取ることが重要だ。それには供給サイドである企業が、いかに消費者が魅力を感じる商品やサービスを提供できるかにかかっている。

 言い換えれば、企業は、シェアリングが普及した経済に適合した戦略を考える必要があるということだ。特に、新しいヒット商品を企業が生み出し、多くの人が「欲しい」と思う状況を作り出すことが何よりも重要になる。

 企業が消費者の求めるモノやサービスを提供することができれば、シェアリングエコノミーが社会に浸透する中でも、潜在成長率の低下などを過度に心配する必要はない。逆に、シェアリングに多くの人が満足し、需要が高まらないのであれば、長期的に経済は停滞に向かう可能性があるだろう。

(法政大学大学院教授 真壁昭夫)