米アラバマ州上院補欠選挙に立候補しているロイ・ムーア元判事 Photo:AP/AFLO

米国で、本来であれば目立たないはずの補欠選挙が、にわかに注目を集めている。12月12日に投票が行われるアラバマ州の上院補欠選挙には、米国政治が抱える論点が凝縮されているからだ。その行方は、税制改革の行方等にも影響を与えそうだ。(安井明彦 みずほ総研 欧米調査部長)

楽勝なはずだったアラバマ州補欠選挙
「一議席」に追いつめられる共和党

「リベラルな(民主党の)人物は必要ない」

 11月21日、米国のトランプ大統領は、12月12日に投票(日本時間では13日の朝頃の予定)が行われるアラバマ州の上院補欠選挙において、共和党が勝利を収めることの重要性を強調した。

 本来は、わざわざトランプ大統領が言及する必要すらないほど、共和党が楽に勝てるはずの選挙だった。共和党は、アラバマ州に強い地盤がある。同州の上院議員選挙で民主党に敗れたのは1992年が最後。しかも勝利を納めた民主党の議員は、任期半ばで共和党に鞍替えしている。2016年の大統領選挙でも、アラバマ州は約30%ポイントの大差でトランプ大統領を選んだ。

 ところが、今回ばかりは雲行きが怪しい。共和党のムーア候補に、複数のセクハラ疑惑が浮上しているからだ。わいせつ行為の犠牲者には、未成年の少女も含まれている。世論調査では、疑惑が出る前の10月後半にはムーア候補が約10%ポイント差でリードしていたが、疑惑後の11月後半には民主党のジョーンズ候補にリードを許す結果も出始めた。