「生活が楽にならない」と嘆く働き盛り世代
構造変化の波をまともに被るビジネスマン
最近、「生活が厳しい」という話を、40代の働き盛りの人からよく聞く。確かにそうかもしれない。1990年代初頭のバブル崩壊以降、わが国の経済は約20年間にわたって低迷してきた。その間、我々の給料はほとんど上がっていない。
90年代後半以降、企業の本格的なリストラが進み、製造業の生産拠点の海外移転やIT機器の発達によって、中間管理職に対する待遇は厳しさを増している。そうした厳しさをまともに受けているのが、40代の働き盛り世代かもしれない。
その一方で、野球などスポーツの世界では“フリーエージェント”となり、高い年俸をもらって、自分の好む球団に移籍する選手がいる。おそらく、そうした傾向はスポーツ界に留まらないだろう。
ビジネスの世界でも、他の人には真似できない技術や能力を持った人材が、一種の“フリーエージェント”となって、企業間を渡り歩いている姿がある。
経済がグローバル化し、国境の垣根が低くなることについては、おそらくこれからも大きな変化はないだろう。それに文句を言ってみたところで、始まらない。むしろ我々自身が“フリーエージェント”になるつもりで、日々を過ごすことの方が重要だ。
そうした心理は、若年層には少しずつ浸透しているように見える。彼らは、先輩連中が人生の厳しさを体感している場面を目の当たりにしており、そうした状況を避けようという気持ちが強くなっているのだろう。
今日からでも、気持ちの上で“フリーエージェント”を目指してみてはどうだろう。生き方に幅が出るかもしれない。
先進国の経済構造の変化に伴って、“中産階級の没落”というトピックが取り上げられることが多い。そして多くの議論が、「“中産階級の没落”の動きを止めることはできない」と結論付けている。