残念ですが高市トレードは切り札になりません…日本経済が復活できない“身もふたもない理由”Photo:YOSHIKAZU TSUNO/gettyimages

高市政権下で、最も注目すべきは円安が加速したことだ。現在の日本経済の課題は、円安・物価上昇・金利上昇の「負の連鎖」を止められないことにある。高市トレードと政策の矛盾、弊害を抑えるにはどうしたらいいのか。また、解散総選挙の行方によっては、今までの逆、株価の下落と円高への転換、長期金利の下げ止まりの方向に動くことも考えられる。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

円安と物価高が止まらない中での解散
高市トレードが逆回転する可能性

 昨年10月の高市早苗首相の誕生をきっかけに、海外の短期筋を中心に、「株式買い・円売り・債券売り」のいわゆる「高市トレード」が盛んになった。その結果、日経平均株価は5万円の大台を超えた。

 年が明けて2026年、為替市場では円が売り込まれ、一時159円台まで円が下落した。債券市場では長期国債が売り込まれ、10年物国債の流通利回りは2.1%台の後半まで上昇した。

 株高そのものは、基本的に経済に弊害を与えるものではない。が、あまりに急な上昇は、その後の急落などの不安定さを演出することもある。そして円安は、輸入物価の押し上げという具体的なマイナス作用もある。さらに、長期金利の上昇は、住宅ローン金利の押し上げなどを通して景気に負の影響を与えることも懸念される。

 特に、歯止めのかからない円安は、物価対策を最優先する高市政権の政策効果を阻害する。積極財政で景気を刺激したい高市政権にとって、物価上昇は何とかして一定の歯止めをかけることが必要だ。それができなければ庶民の生活は一層厳しくなり、財政の状況も一段と悪化することになりかねない。

 もう一つ気になるのは、2月に衆議院選挙が実施されることになり、政情が不透明になっていることだ。結果次第では政権交代の可能性もある。その場合、これまでの高市トレードの逆回転が起きることも予想され、金融市場は不安定になるだろう。