「風俗嬢に騙されたくない」は
発想そのものがズレている

 しかし、作者の鳥飼氏によれば、この作品は単なる“色恋営業”の物語ではないという。

「人によっては色恋営業に見えてしまうかもしれませんね。でも私としては、騙した・騙されたという風には描いていないんです。主人公がたまたま承認欲求の強い虚言癖のある女の子と出会って、恋をした。中には、『芹香はなんて悪女なんだ』と思う人もいるかもしれませんが、恋をするのも止めるのも主人公次第だったので、嫌なら会いに行かなければよかっただけのことです。それでも会いに行ったから、2人の恋がはじまったんです」

 では、この物語を現実に置き換えるとどうなるだろう。営業なのか本気なのか、運命なのか罠なのか…。実際に芹香のような女性が現れた場合、その魅力に中年男たちは抗うことができるのだろうか。

 風俗やキャバクラで、色恋営業に引っかかる男はいる。お金と時間を使って必死に口説き落とそうと試みるが、うまくいく可能性は限りなく低い。傍目から見て、そんな哀れな人間にはなりたくない。騙されないためにはどうすればいいのかを鳥飼氏に尋ねた。

「“こうすれば騙されない”って、そもそも前提がずれてると思うんです。“騙されないぞ”は、言い方を変えれば“損しないぞ”ということですよね。生身の人間を相手にして、『自分だけはトクしよう』という考えはおかしいと思うんですよね。風俗だろうと日常生活の中だろうと、どんな環境でも変わらないことだと思います」