前年比150%成長の秘密

 投資の対象はモノに限りません。
 スキンケア商品の通信販売を行う株式会社未来(愛知県)の山口俊晴社長がお金をつぎ込んでいるのは、宣伝広告費です。

 通販事業は店舗がないので、新規顧客獲得のために広告宣伝にお金をかけるのは当然と思われるかもしれません。

 しかし、新規の顧客獲得にお金をかけ続けるのは、できそうで案外できない。

 商品の認知度が低いときは、広告宣伝にお金をかければかけるほど認知度が高まって顧客が増えます。

 しかし、市場にいったん認知されたあとは宣伝効果が低くなり、さらにお金をかけないと新規顧客を獲得できなくなります。

 そこで多くの社長は、既存客とのつながりを強くするためにお金をかける。これが普通の社長の発想です。

 山口社長も既存客に対してお金をしっかりかけています。

 ただ、新規獲得の広告宣伝を減らしたわけではなく、むしろ増やしているところが並みの社長ではない。

 費用対効果は下がるので、顧客獲得コストはひとり6000円から7000円に上がった。しかし、その一方で売上は前年比150%成長。惜しまず投資をすれば、それ以上のリターンが返ってくる。

 このように未来へ投資するには、原資となるキャッシュが必要です。
 キャッシュは会社を守る盾であると同時に、会社の成長を促す武器にもなる。

 まさに、キャッシュが会社の命運を握っているのです。

 700社以上を診てくると、残念ながら、100人中99人が陥る「アリ地獄」があります。これは面白いほど共通しています。
 ぜひ、第1回連載にある、ひとつでも当てはまったら危ない!【あなたの「会社の危険度」10のチェックリスト】をチェックしながら、『数字は人格』を体細胞に植えつけていただけたらと思います。