そろそろ忘年会シーズンなので、酒席の小ネタを。

 日本人は酒に弱いことが知られている。これを決定するのはアルコール分解能で、具体的にはアルコール脱水素酵素1B(ADH1B)とアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)の活性だ。体内に入ったアルコールはADH1Bによって毒性の強いアルデヒドに代謝される。このアルデヒドが顔面紅潮や二日酔いの原因。次の段階で、ALDH2がアルデヒドを無毒の酢酸に分解するまで、吐き気や頭痛に悩まされるわけだ。

 これまでの研究でADH1BとALDH2にはそれぞれ、酵素活性が高い~中間~酵素活性が低い(ALDH2では活性ゼロも存在する)の3タイプがあり、組み合わせによって酔い方が違うことがわかっている。たとえば、ADH1BとALDH2両者の活性が高い人は、飲んだそばから分解する「飲んでも酔わない」酒豪の人。このタイプが飲み放題に来ようものなら飲食店は真っ青だろう。幸い日本人ではホンの数パーセントにすぎないが。

 ADH1B高活性、ALDH2低活性タイプは、アルデヒドの影響で少量でも二日酔いになりやすい。逆にADH1B低活性、ALDH2高活性タイプは機嫌よくだらだら飲む割には、二日酔いが軽いお得な体質。ただし、気づかぬうちに血中アルコール濃度が限界に達し「記憶を失いやすい」ので酒乱と言われないようご注意を。