『ゴルゴ13』(ゴルゴサーティーン)は超一流のスナイパー「ゴルゴ13」の活躍を描く、さいとう・たかをの作品。小学館「ビッグコミック」で1968年より、現在にいたるまで連載中(コミックス既刊187巻)だ。昨年は50周年の記念イベントなどもあった。全巻を繰り返し読んでいるのだが、私見では「ゴルゴ13」こそが、ビジネスのプロを目指す者にとって“最高の教科書”になる。 プロフェッショナルとはどういうことか、プロになるためには何をすべきか。一般社会やビジネスに役立つ13のノウハウを前・後編に分けてご紹介する。(プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役 秋山 進、構成/ライター 奥田由意)
プロフェッショナルは
仕事を自己完結できる
● 1 専任にならない
特定の組織への帰属や専任化は、他者が決めたルールへの帰属であり、自ら定めた生き方の否定となる。
ゴルゴ13(以下ゴルゴ)は、プロフェッショナルとは、圧力をかけられても、好条件を提示されても、決して帰属せず、専任にもならないものだと言う。特定の組織に取り込まれると、クライアントとその組織とのあいだで板挟みになり、依頼を完遂できないおそれがあるからだ。
66巻では、世界最大の財閥ロックフォードが、ゴルゴの腕を見込んで彼を一族の専属スナイパーとして破格の報酬で雇おうとする。しかし、ゴルゴは口座封鎖などのさまざまな圧力を受けても断固これを拒否している。
波頭亮「プロフェッショナル原論」(ちくま新書)でもプロフェッショナルの要件として似たようなことが書かれている。その要件とは「インディペンデント、即ち職業人として独立した身分である」こと。具体的には「自分の主人は自分自身であるというのがインディペンデントである」ということの一つ目の意味合いであり、もう一つの意味合いは、「仕事を自己完結することができるということである」と説いているのだ。
組織に属さずフリーの場合はむろん、会社員であっても、社内政治などの特定の派閥に与して、その意向に沿うのではなく、本来の仕事の目的のために、精神的にインディペンデントな状態で、業務を全うする。また、自分の仕事の専門性を磨き、職業人として独立しているという気概を持つべきである。