今は、「1社だけが値上げすればライバルに顧客を奪われるが、ライバルも値上げをする」「業界全体が値上げをすれば、業界全体の利益が増える」という条件が整っているのだから、再値上げをしない理由が筆者には思い当たらない。

 宅配便事業者には、ぜひ再値上げをして、増えた利益で"省力化投資"を積極的に行っていただきたい。大変な重労働をしている従業員にも、賃上げで報いるとともに、高い賃金を武器に他業界から労働力を奪い取ってきて、労働者1人当たりの荷物量を減らしてあげてほしい。

人手不足に苦しむ
他業界にも波及

 宅配便業界で起きていることは、他業界でも起きると予想される。

 やはり人手不足だと言われている飲食店業界でも、深夜営業をとりやめようという動きが広がりつつある。これは、「過当競争をやめて労働生産性を上げよう」という大変好ましい動きだ。深夜に食事をする少数の客を、多くの飲食店で奪い合っても仕方がないし、消費者にとっても深夜は最小限の店舗だけ開店していればいい。

 できれば、それに加えてメニューの値上げも行なえばいいと考える。外食産業は、ライバルが多いから、皆が追随値上げをしてくれるわけではなく、値上げすると自社の顧客が大幅に減ってしまう懸念があるので踏み切りづらいのは分かるが、誰かが勇気を持ってトライしてほしい。

 でなければ、すべての飲食店が「労働力不足」と「人件費上昇」に苦しむだけだ。ヤマト運輸のような勇気のある企業が登場することを期待したい。

 飲食店には、大いに稼いで、自動食器洗浄機でも購入して労働生産性を高めてほしい。従業員の負担が減るし、食洗機の売り上げも増えて景気も良くなるからだ。