宅配便各社が値上げに踏み切った。ヤマト運輸が10月から、佐川急便が11月から、日本郵便が来年3月から値上げをする。
ヤマトホールディングスの山内雅喜社長は、記者会見で「今後の成長に向けた強い経営基盤を確立したい」と述べて、値上げに理解を求めた。佐川急便は、値上げで得た原資を従業員の待遇改善や輸送力の増強に充てる方針だ。日本郵便の横山邦男社長も記者会見で「賃金などの費用の増加を考えると、郵便物流を長期、安定的に提供するために必要な措置だ」と語った。
ヤマトの値上げにライバル各社が追随した形となったわけだが、今後は他の業界にも値上げの動きが広がり、後から振り返ると「今回の値上げがインフレ時代の号砲であった」ということになりそうだ。
賃金など費用の増加を
価格に転嫁する動きが拡大へ
コストが上がれば、それを価格に転嫁するというのは、当然のことのようで実は容易ではない。ライバルが価格を据え置いて、自社の顧客を奪ってしまうリスクがあるからだ。今回、最初に値上げに踏み切ったヤマトは、そのリスクを冒してでも値上げする道を選んだ。そして結果は、ライバルが追随値上げをしたため、各社ともにほとんど顧客を失うことなく値上げをすることに成功したのである。