今回のケースでは組織崩壊を防ぐことができたものの、経営陣が知らない間に、管理職が私利私欲にまみれて職場を崩壊させている例は、意外にも少なくない。原因は本件で見られたように、1人に何もかも任せてしまうことにある。結果、権限が集中し、チェック機能が適切に働かなくなり、不正の温床になりやすい。今後同じような過ちを繰り返さないためにも、必ずチェック機能を作るなど、仕組み化することで再発防止策を講じなければならない。

 本件のように、遅刻やクレームで上司が罰金を取り、自分の懐に入れているという話は少なからず耳にする。また、「書類などの提出期限を守らなかった」「仕事上のミスをした」場合に、労基法の減給制裁の限度を超える高額な罰金制度を科しているという話も聞く。もし、理不尽な罰金制度に悩んでいるようであれば、労働基準監督署や社労士に相談してほしい。

 最後に、社員から集めた金をキャバクラなどの遊興費に使っていたことに関し、業務上横領や恐喝を思い浮かべた方もいることだろう。本件は会社が罰金制度を知らなかった中での行為なので業務上横領は成立せず、場合によっては詐欺か恐喝等になる可能性がある。業務上横領罪は、「会社のお金」を勝手に使用した時に成立することを知っておいてほしい。

※本稿は実際の事例に基づいて構成していますが、プライバシー保護のため社名や個人名は全て仮名とし、一部に脚色を施しています。ご了承ください。