頭を悩ませた損害額の認定

 アイデアは浮かんだものの、いざ保険商品として成立させようとすると、問題は山積みだった。

 ネット炎上を一体どう定義付けするのか、企業の損害額をどのように認定するのか、ネット炎上に伴う企業収益の減少を果たしてカバーできるのか、保険金の不正請求をどう防ぐのかなど、業界初で前例がないこともあって、答えがすぐに見つからないものばかりだったのだ。

 発案当初は、そうした細部を詰め切れていない段階で提案してしまったため、上司をはじめ周囲の反応は冷ややかだったという。

 8年在籍した地方の支社から本社に移って約半年。結果を出そうと前のめりになっていた時期だっただけに、自らの力不足を痛感し「歯がゆかったし、とにかく悔しかった」と大野は振り返る。

 それから、商品化に向けて社内でゴーサインが出るまでには1年ほどかかったというが、決め手になったのは、法人向けにネット炎上をモニタリングする、エルテスという企業の存在だった。

 エルテスは、ツイッターやブログ、掲示板、雑誌、テレビ、新聞などのメディアを365日監視。従業員の不適切な投稿や、商品の不具合などによるネット炎上を早期に検知し、拡散防止につなげるサービスをこれまで300社以上に提供している、東証マザーズ上場の新興企業だ。

 担当者が目視で4時間置きに100を超える情報サイトを監視したり、「ブラック(企業)」「セクハラ」「パワハラ」などクライアントが選んだ任意のキーワードで関連検索し、ツイッターのつぶやき数など動向を常にチェックしたりするのも同社のサービスの特徴だ。

 大野はエルテスについて調べるうちに、グループのコンサルティング会社、SOMPOリスケアマネジメントと取引があることに気付き、「(商品化に向けて)強力な仲間をやっと見つけた気分だった」という。

 エルテスとの連携(別料金)を付帯することで、客観的なネット炎上の定義や検知が可能になり、商品化への視界は一気に開けたが、その後も大野の頭を悩ませたのは補償内容だった。