ネット炎上保険には、サイバー保険や商品の不具合による回収費用などを補償するリコール保険と違って、仮に商品やサービスの売り上げが減ったとしても、果たしてどこまでが炎上によるものなのか、その因果関係を含めて証明しにくい側面があり、損害額の認定が難しい。

 そのためネット炎上保険では、企業収益の減少分を補償するのではなく、炎上の拡散防止や原因の調査、記者会見の設定などメディアへの対応に掛かった費用を補償する設計で落ち着いた。

 ターゲットとするのは、外食チェーンやコンビニエンスストア、自動車ディーラー、学校法人などBtoCビジネスを展開する企業だ。規模別では、自社で有事に対応する余力のある大企業よりも、従業員数100人以上で、広報機能などを持たない中堅企業をメーンに営業をかけている。

 冒頭で紹介したように、ネット炎上のパターンは多岐にわたり、発生原因もさまざまだ。対策をいくら講じていても完全に防ぐことは難しく、むしろいかに素早く検知し、早期に対策を打てるかが重要だという。

ドアノック商品として営業提案力が強化

 ネット炎上保険は、標準的な契約だと、保険料は年間50万~60万円で、保険金の限度額は1000万円。保険料のボリュームだけでいえば、同社の収益の柱にはとうてい成り得ないだろう。

 一方で、ネット炎上保険はその話題性から、営業のきっかけになる「ドアノック商品」としての役割を果たしており、提案を進める中で企業のリスクがあらためて洗い出され、別の保険契約に結び付くことも少なくないという。

 他社にない新たなメニューが加わったことで、企業の経営者から「(保険会社としての総合的な)提案力が高いねと言ってもらえた」とうれしそうに話す大野。その視線の先にある、5年間で契約1000件という目標が、日々自らを突き動かす原動力の一つになっているようだ。(敬称略)

(「週刊ダイヤモンド」編集部 中村正毅)

【開発メモ】ネット炎上対応費用保険

 従業員の不適切な投稿や商品の不具合などをきっかけにした「ネット炎上」に、企業がいち早く対応できるよう、拡散防止や第三者によるコンサルティング、原因調査などの費用から、臨時要員の人件費、記者会見の設定といったメディア対応などの費用まで幅広く補償する。保険料は業種や企業規模によって異なるが、年間50万円程度が標準だ。