貧困、飢餓、環境破壊、人種差別、女性問題――世界には依然、解決しなければならない問題が山積している。近年、こうした課題をソーシャルメディアやITを駆使して解決していこうとする気運が高まりを見せている。それが「ソーシャルグッド」というムーブメントだ。
実際に、2011年9月にニューヨークで開催された「ソーシャル・グッド・サミット」は、類を見ない盛況ぶりだったという。このイベントにスピーカーとして顔を揃えたのは、テッド・ターナーや、グラミン銀行創設者のムハマド・ユヌスといったそうそうたるメンバーで、「ソーシャルグッド」に対する期待値の高さがうかがえるものとなった。
「社会問題に対するより革新的な解決策を模索する動きは、ここ数年で高まってきていると思います。ただし、流行で終わらせてはいけない」
そう語るのは、同サミットにおいて登壇した「コペルニク」共同創設者兼CEOである中村俊裕氏である。「コペルニク」は、途上国向けの革新的な技術・製品のオンライン・マーケットプレイスを提供するサービス。同サミットに参加し、「多くの人が様々なアイデアを持っている」ことを改めて実感したという。
翻って、日本においても「ソーシャルグッド」を志すサービスが次々に登場し始めている。
たとえば、オンラインでイベントの告知やチケット販売ができる「PeaTiX」では、社会貢献をチケット売上の使途とするイベントに対して、「ソーシャルグッドイベント割」というプランを提供している。通常手数料よりも低い価格でイベントを開催できるプランだ。
「社会貢献活動にとって支援者や資金を集めることは、最も重要な課題の1つです。そこで、ソーシャルグッドムーブメントの裾野拡大の一助になればと考え、本プログラムを実施させて頂くことにしました」(Orinoco Peatix株式会社 CMO 竹村詠美氏)
イベントの開催は、「ソーシャルグッド」な活動を支えるための重要な収入源になる。同社では、イベントの企画運営ノウハウを提供するセミナーを開催するなど、NPOやNGOのみならず、個人が社会貢献に関わるための支援も積極的に行なっている。実際に、同サービスを使った小規模のチャリティイベントやワークショップは多数開催されており、“個人がリーダーシップをとる”という、従来とは違った社会貢献の在り方が生まれつつあると言えそうだ。
東日本大震災でのTwitterの活躍、ジャスミン革命をはじめとする政治のうねりに大きく貢献したFacebook。2011年は、様々なシーンでソーシャルメディアの威力を見せつけられた年となった。「ソーシャルグッド」というムーブメントが、来年以降をさらに「いいね!」と感じさせてくれる年にしてくれることを祈りたい。
(中島 駆/5時から作家塾(R))