毎回多くの方にお読みいただいてきた本連載「ソーシャルメディア進化論」は、いよいよ今日が最終回。過去12回の連載では、ソーシャルメディアのタイプ別分類、ソーシャルメディアが孕むリスク、企業がソーシャルメディアを活用する方策などについて述べてきた。
連載を終えるにあたり、ソーシャルメディアがますます私たちの生活に根づくこれからの社会がどのような姿になっていくのかを考えてみたい。

【過去12回の連載はこちらからお読みいただけます

ソーシャルメディアの出現によって
人と人とのつながりは原点に還る

武田隆(たけだ・たかし)エイベック研究所 代表取締役。日本大学芸術学部にてメディア美学者 武邑光裕に師事。「日本の伝統芸術とマルチメディアの融合」を学ぶ。1996年、学生ベンチャーとして起業。企業のウェブサイト構築のコンサルテーションを足掛かりに事業を拡大し、多数の受賞を得るも、企業と顧客の距離が縮まらないインターネットサービスの限界に悩む。クライアント企業各社との数年に及ぶ共同実験を経て、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する「企業コミュニティ」の理論と手法を独自開発。その理論の中核には「心あたたまる関係と経済効果の融合」がある。システムの完成に合わせ、2000年同研究所を株式会社化。その後、自らの足で2000社の企業を回る。花王、カゴメ、ベネッセなど業界トップの会社から評価を得て、累計300社にシステムを導入。当ドメインでは日本最大。コミュニティには60万人を超える消費者が集まる。1974年1月生まれ。海浜幕張出身。

 これまでの連載を通じて、ソーシャルメディアの進化の方向性として、企業コミュニティが、ばらばらになってしまった個人を再結合させ、また、社会との関係をとりにくくなった個人が企業を通じて、社会と関わり合えるようになっていくというビジョンを説明してきました。

 また、前回、アップルのマーケティングやブランドが、企業コミュニティを考える上である意味究極の姿であることを提示しました。

 これまでの連載で取り上げてきた議論は、自分の会社や普段の活動と比べて、あまりに先端的な事例すぎると思われたかもしれません。

 あるいは、アップルが一つの最終形だとすると、結局、アメリカを起点とした考え方になってしまうのか、と受け取られた方もいるかもしれません。

 しかし、私はそうは思いません。もともと、企業コミュニティが実現しようとしていることは、人と人があるテーマをもとにつながり合うという、きわめて自然な活動をネットワークが支援するものだからです。