「両親は自分たちのせいで僕が障がいを持ったと思っており、申し訳ないことをしたとずっと僕に謝ってきました。ですが、自分は障がいを持っているけれども、そんなことはマイナスではないくらいにたくさんの愛情を両親から受けてきたんです。申し訳ないなんていう気持ちをもう持たないで欲しい。それを一番に伝えたいんです」
新郎のそんな想いをどのようにしてご両親にお伝えするのがいいのでしょうか。
いつもは寡黙なお父さまがお酒を飲むと時折漏らすお話があったと、新郎はおっしゃいました。
それは「お母さんにウェディングドレスを着せてやれなかった」という後悔でした。
駆け落ちをして国を出て、妊娠し、子どもを産んで、貧しい中で必死で働いてきた。結婚式どころか、ドレス姿の写真を撮ることさえもできなかった。金銭的にも精神的にも余裕がなかったのだと──。
お父さまは還暦を過ぎていらっしゃいましたが、それでもなお、妻に結婚式を挙げてやることもできず、ドレスも着せてあげられなかったことを、「申し訳ない」といまだに悔やみ続けていらっしゃったのです。
そのお話を伺ったプランナーは新郎へこんなご提案をさせていただきました。
「ご両親に結婚式をプレゼントしたらいかがでしょう?」
最初はびっくりされていた新郎でしたが、それが何より一番の感謝のカタチになるかもしれない、と快諾いただきました。
そして、お母さまのウェディングドレスは、こっそり新婦にお選びいただきました。