ウェディングストーリー　
大切な人に会いたくなる結婚式の物語３
「30年目の結婚式」

  結婚式当日。
  新郎新婦がお色直しで退場されている際に、プランナーがお母さまのところへ行ってこう申し上げました。
 「お母さま。ちょっとよろしいですか？」
  怪訝そうにされているお母さまをお部屋にお通しすると、そこにはヘアメイクのスタッフが待っています。
  何が何だかわからないという顔をされているお母さまへ、綺麗にヘアメイクをし、ウェディングドレスをお着せしました。
  そこに迎えに来たのは新郎。
 「お母さん。どうぞ」
  そう言って新郎は優しくお母さまの手を取りました。
  その頃、会場では新婦がお父さまのもとへ。
 「お父さま。こちらへどうぞ」
  そう言って新婦もお父さまの手を優しく取ると会場の階段の下へエスコートしました。
 「お父さま。あちらをご覧ください」　

  司会者の声とともに階段上の扉が静かに開きました。
  そこには、息子に手を引かれて立つウェディングドレス姿のお母さまが。
  あまりの驚きに言葉を失いながらも、喜びで目を潤ませるお父さま。
  階段を降りながら少しずつ近づいてくるお母さまのドレス姿を食い入るように笑顔でご覧になっていらっしゃいました。
  そして、階段を降り終わるとお父さまとお母さまは引き寄せられるように抱き合われたのです。