最近では、新郎新婦の結婚式の中でご両親にスポットを当てることは珍しくなくなりました。
  しかし、10年ほど前までは、両親が準主役となる欧米とは違い、日本では両親は裏方の存在。末席に座り、会場でお酒を注いで回ったりするような光景が主流でした。ですから、ホスト役である両親がスポットライトを浴びるなど考えられないことだったのです。このご両親の結婚式をきっかけに全国の私たちの会場で、このように新郎新婦だけでなく、ご両親へもスポットを当てたご提案をするという動きが広がりました。

  こんなこともありました。
  新婦のご両親は家庭内別居状態で、一緒にご飯を食べることもなく、会話も、笑い合うことすら何年もなかったそうです。
  新婦は「両親にもう一度仲良くなって欲しい」という最後の願いを込めて、自分たちの結婚式の中でご両親にも挙式をプレゼントされたのです。
  式ではご両親にお互いの好きなところを言い合ってもらったり、誓いのキスをお願いしたり。お断りになるかと思いきや、お父さまは躊躇することなくお母さまの頬にキスをされました。そして、その時、お母さまはとても嬉しそうな表情をされたのです。
  後日、新婦からお手紙が届きました。
「あの結婚式を境に、なんと我が家では父と母が一緒にテーブルについてご飯を食べるようになりました。最近では会話をすることもあり、そこに笑いが生まれるようにまでなりました。奇跡を起こしてくれてありがとうございます」
  きっとご両親は仲直りをしたいと思っていても、なかなかきっかけをつかむことができなかったのでしょう。
  私たちは背中を押しただけに過ぎません。

 


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本書は、新婦とその父との親子の強い絆を綴った『優しい記憶』を含め、著者の有賀明美さんが12年間のウェディングプランナー人生の中で自身が手掛けた印象に残っている結婚式の実話と、T&Gに在籍する全国のウェディングプランナーが創り上げた結婚式の実話、計12エピソードを収載した書籍です。ぜひご一読ください。
カバーイラスト/柴田ケイコ

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ウェディングストーリー <br />大切な人に会いたくなる結婚式の物語3<br />「30年目の結婚式」
有賀明美(ありが・あけみ)
これまで数多くの芸能人やアーティスト、プロスポーツ選手などから指名を受け、その結婚式をプロデュースしてきた実績を持つウェディングプランナー。
型にはまった結婚式が一般的だったなか、「サプライズ」という新しい概念をつくりだした“オリジナルウェディング”の先駆者的存在。ブライダルにおける大胆な発想力と、それを支えるエネルギッシュな行動力は各所で高く評価されており、多くの番組に出演するだけでなくドラマ「ウェディングプランナー」、「夫婦。」、「大切なことはすべてきみが教えてくれた」などでのウェディング監修を担当。
近年ではプロデュース力を活かして、T&Gオリジナルのウェディング商品を秋元康氏とのコラボレーションにより生み出すなど、幅広い分野へとその活躍の場を広げている。
著者に『なりたい自分になれる魔法の幸せ計画』がある。
テイクアンドギヴ・ニーズHP http://www.tgn.co.jp/
有賀明美オフィシャルブログ http://ameblo.jp/a-ariga/