ここで言う「出世」とは仏教用語ですが、私なりに解釈をして、「会社の枠を超えて、世の中に価値を生むような仕事をすること」としています。40代になったら、会社の中だけに留まるのでは足りません。組織の中で必要な人材となることはもちろん、会社の外からも見えるような仕事をする、つまり組織を超えて名声が轟く人材になる必要があります。

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 この成長論に照らせば、村田選手はプロフェッショナル確立期までは上々だったわけです。ただ、ここで彼は、その比較優位を生かせない巨人に行くべきではなかった。おまけに自分のような性格の選手が、本音では好きではない組織に行くべきではなかったと言えるのではないでしょうか。

 私たちは村田選手のケースから何を学ぶべきでしょうか。読者の多くは20代には優秀だと言われていた方々だと思います。では、現在、組織の中で比較優位の旗を立てることができているでしょうか?

 もしできていないのであれば、旗を立てられるところを目指すべきです。自分自身のありようを見つめ直す必要があります。そして次に、すでにその旗を立てることができていると思うのであれば、この先をどうするか。組織に留まるにしても、外に飛び出すにしても、その旗がよりよく生きる、輝く場所を目指すべきです。

 どこにいたら自分の旗が最も輝くか。徹底的に考え抜くことが求められます。「群馬([ぐんば];多くの馬が群れている様)に紛れる」ことを恐れてください。たとえご自身が一流の競走馬だとしても、ご自身以上に優れた競走馬の中にいたのではご自身は決して輝きません。優れた競走馬の中にいてもなおかつ頭一つ抜きん出るほどの能力があるなら良いのですが、優れたものの中ではそれほど抜きん出ていないとするなら、その場に留まるべきではありません。

(明治大学専門職大学院グローバル・ビジネス研究科教授 野田 稔)