“ここで終わり”
とは考えない

本連載の著者・野田稔さんの
最新刊が好評発売中!

『実はおもしろい経営戦略の話』
SBクリエイティブ刊、800円(税別)
弱者が強者に勝つ方法
経営戦略の基本から、企業の実例を交えた勝ちパターンの作り方、戦略の立て方、タイプ別に見る生き残る企業と自滅する企業、未来企業の特徴までをやさしく解説

 さて最後に、一度手に入れたこだわりのマイホームの“その後”についてです。ある程度年齢が高くなると、都心のほうが住みやすくなるものです。都心近くにももちろん坂の多いような場所は点在していますが、郊外の山を造成したような住宅地はアップダウンが多いものです。坂が多いと、どうしてもお年寄りは引きこもりになりがちになるのは事実でしょう。

 つまり、30代で郊外に立派な家を持ったとしても、将来ずっとそこに住み続けるということは必ずしも前提にすべきではないと思えるのです。

 本記事は不動産に関する連載ではないので、資産価値云々は考えていません。ただ、今は「人生100年の時代」であり、定年後もセカンドキャリアを考えて、末永く人生を謳歌することを考慮すべき時なので、昔と違って、必ずしもそこを終の棲家と考えるべきではないということです。

 自分たちのキャリアや人生に合わせ、時に応じて住み替えていくという考え方もあります。子どもが皆巣立って、夫婦二人になってもなお、郊外の広い家に住み続ける必要はないのです。

野田稔さん宛の質問募集中!
キャリアに関する悩みなどに関して、誌上でお答えします。個人や企業が特定されるような記述は極力避けるよう配慮しますが、どうしても記載してほしくないことは万が一を避けるために、メール文面にご記入されないようにお願いします。
アドレス:dolcd30@gmail.com

 自分の人生、キャリア、また家族の将来を考慮した上で、中長期に状況は変化することを前提に、今はどこに住むのが一番妥当かを考えて選択することをお勧めします。

 そしてもう一つ、これは皆さんにとってはまだまだ先の話ですが、晩年の住処としての施設選びです。私の父は今年92歳になります。まだ元気いっぱいで、年に5~6回音楽コンサートへの出演を続け(84歳から楽器を習い始めました)、昨年は友好団体の幹事の一人として会議出席のために中国出張をこなしました。その父が現在住んでいるのは本人が大変気に入った場所にある老人ホームです。

 私は当初「自分の住まいの近くの施設を選びたい」と考えていました。もしくは、同居です。ところが、父は「自分が若い頃住んで気に入っていた神戸に住みたい」と言い出しました。これには私もびっくりしました。

 しかし、話を聞いてみると実に自分の人生を前向きに捉え、これからもエンジョイしたいと思っていることがわかりました。“終の住処”といった、ここでもう終わりといった感じではなく、むしろこれから楽しもうという感覚です。

 わが父ながら、あっぱれだと感じました。さすがに神戸は遠いということになり、雰囲気の似ている横浜~湘南方面で探すことになりました。終の住処なんて言わない。最後の最後まで、生きることを楽しみ抜く。そのための住まい選びを父から教えられました。

(明治大学専門職大学院グローバル・ビジネス研究科教授 野田 稔)