農林族が勢力拡大
政治と距離を取る担い手農家たち

 自民党も改革色の後退が著しい。小泉進次郎前農林部会長の後任には、JA鹿児島県中央会出身の野村哲郎氏が就任。JA全中出身の山田俊男氏も農政を議論する幹部会のメンバーに入った。

 このほか、宮腰光寛氏が農林水産物輸出担当の首相補佐官へ、衆院選で落選した西川公也氏が内閣官房参与へ起用されるなど、農林族議員の巻き返しが始まっている。

 農政の分野で、最も改革の迷走が懸念されるのがコメだ。

 18年産から減反に従うメリットだった補助金がなくなり、一応「減反廃止」となったが、いかんせん飼料用米への補助金(10アール最大10万5000円)が手厚過ぎて市場原理が働かない。

 飼料用米の生産による収入の93%は補助金だ。つまり飼料用米を作っていれば安定収益が得られる。米価が下がれば農家は飼料用米の生産へシフトするので、米価は高止まりする。その結果、コメ消費は減り、国際競争力は低下する。飼料用米の手厚過ぎる助成は農業の産業化を阻害するのだ。

 本来ならば、改革派の政治家が飼料用米の助成水準を下げるように主張すべきなのだが、政府・与党内でその論陣を張っているのは財務省ぐらいだ。政界では問題提起すらタブーになっている。

 農家も補助金の水準が続くとはみていない。「くれるものを自分から減らせとは言わない。飼料用米に依存している仲間もおり、言いにくい雰囲気もある」(コメ農家)。

 農家の高齢化など危機的な状況は変わらないのに農政改革は停滞している。農業の競争力を高め、産業化するためには、改革の手綱を緩める局面ではない。