地方新聞社の持つ「地域情報」は
貴重な資産になりうる

「演歌編」の動画をご覧になれば一目瞭然だが、全国紙の電子版と比較しての割安さを、こぶしを回して歌うことでアピールする内容となっている。1日30本の『Lコース』でも月972円だから、確かに安いと言えば安い。

 しかし、総人口100万人を、このほどついに割り込んだ秋田県というきわめてローカルな舞台を地盤とする地方新聞が、NewsPicksや、日経、朝日の電子版などと同じ土俵で成功するのはきわめて難しいように思える。秋田県の人口と産業構造を考えれば、Webでの情報収集を効率化することにお金を払う意欲のある人が、まとまって存在するとは考えにくいからだ。

 そこで、前述の記事執筆者である高橋慶彦氏に取材することにした。高橋氏は高校卒業後に米シリコンバレーに留学し、現在では東北プリントワールドという広告代理店を秋田県内で経営する企業家だ。東京にもクライアントを持ち、県内事情を外部から眺めることもできる視座に身を置く彼に、秋田県における新聞の電子化のあるべき道筋について語ってもらった。

 高橋氏がまず着目するのは、長い年月をかけて地元で取材を重ねてきた地方新聞社が蓄積してきた、膨大な量の「地域の情報」だ。これを貴重な資産と捉え、「地域の魅力」を伝える情報源として、地域の外に発信できないかというのだ。

「地域内の『人』に徹底的にフォーカスを当てて魅力を発信することで、情報の拡散が図れるのではないかと思います。県民としての実感ですが、秋田県人は地域愛や郷土愛がきわめて強い。取材された人の家族・友人・同僚などがその記事を積極的にシェアすることで、共感の輪が県内でまず大きく広がり、続けて県外に住む県出身者やその友人・知人にも拡散することが期待できます」(高橋慶彦氏)