球界きっての「思考派」と呼ばれる、福岡ソフトバンクホークス現役エース・和田毅が「練習について」のすべてを語る連載。第3回のテーマは、プロ野球選手ならではの日々の調整・修正のための練習の方法と、ジンクスに振り回されない「自然体」をいかに手に入れたかについて。(構成/田中周治、写真/繁昌良司)

ソフトバンク和田投手が米国移籍で思い知った「自然体」の強さ

シーズン中は体調だけでなく技術にもブレが生じる

 野球の練習とは、基本的に野球がうまくなるためにするものだ。

 しかし、プロ野球選手の場合、事情は少し違ってくる。もっとスタミナをつけるために徹底的に走り込む。新しい変化球をマスターする。そういった成長のための練習は、大まかに言えばシーズンオフからキャンプの時期に行うのが一般的だろう。約7カ月に及ぶシーズン中、特に一軍の選手は、自分の体調や技術の維持に多くの時間を割く場合が多い。今回は、そういう日々の調整・修正のための練習について語りたいと思う。

 先発ピッチャーは、基本的に1週間に一度の割合で、マウンドに上がる。登板日以外は、次の登板のための準備に費やすことになる。

 長いシーズン中には当然、身体に疲れが溜まってきたりして体調には波が現れる。実は、それに伴って野球の技術にもブレが出ることもある。具体的に言えば、僕らピッチャーの場合は、投球フォームに微妙な変化が生じてしまうわけだ。

 自分ではいつもと同じ感覚で投げて、同じフォームで投球できていると思っていても、実際は普段のフォームとは違っている、というケースはままある。では、そういうときにどのように修正していくのか……これがなかなか厄介なのである。