変革への対応を進めるトヨタ
自社の技術をベースに新しい技術を実用化

 産業界の常識を覆すほどの変革が進む中、トヨタの経営戦略は将来を見据えたものに舵を切っている。

 具体的には、熟練工の技術力をロボットに習熟させて高度な自動化が目指されている。また、モビリティの概念をもとにして経済活動のプラットフォームとなりうる自動車の開発も進められている。

 第3四半期決算においてトヨタは『トヨタの競争力を支えるモノづくり』と銘打ったプレゼンテーション資料を公表した。過去の決算発表を振り返っても、トヨタが決算以外のプレゼン資料を準備するのは珍しい。

 その内容は、100年に一度の変革を、トヨタ生産方式(ジャスト・イン・タイムと自働化)にAIなどを用いた自動化を組み合わせ、匠の技を機械で実現しようという考えが記されている。つまり、省人化によって生産の効率化を進めると同時に、さらに高度な品質を目指そうとしている。

 それに加え、トヨタはマツダなどの同業他社だけでなく、アマゾン、ライドシェアアプリ世界最大手の滴滴出行(ディディチューシン)などと提携して、コンセプトカーの開発を進めている。CASEのコンセプトを搭載した自動車を、単一の企業で作り上げることは難しい。国際的な規格への対応、ネットワークシステムの共有、データの収集と活用などを考えると、オープンな形でイノベーションの発揮を目指す考えは、今後も増えるだろう。

 こうした大きな変革が進む中でトヨタがこだわっているのが、自動運転を前提にした走行システムを、自社で開発することだ。その発想が今後の競争にどう影響するかは不透明な部分もあるが、トヨタは自社の技術をベースに、新しい技術を実用化することでモビリティのプラットフォームとしての自動車のコンセプトをまとめ上げようとしている。

 それは、一企業として競争力を発揮し、成長を高めていくためには不可欠な考えだ。トヨタは他企業との協力をベースにしつつ、モビリティのコアとなる技術を生み出し、新しい需要の創造を目指している。