ホンダが振り出す
元気の約束手形
2012年2月3日(金)午後6時、東京都港区南青山。日本全土が寒気に包まれるなか、国道246号線沿いの本田技研工業・青山本社ショールームで“ある催し”が開かれた。
その名は「NSXナイト」。ホンダが2015年までに発売するスポーツカー、次期「NSX」のコンセプトモデルを囲んでの、日本メディア向けのお披露目式と立食パーティ形式の懇親会だ。
日本の自動車メーカーで、まだ発売が当面先のクルマについて、こうしたイベントを開催するのは異例だ。
ショールーム内には、日頃一般向けに展示されているホンダの四輪車、二輪車の姿はなかった。その代わりとしてそこにあったのは、2台のスポーツカー。舞台向かって右側に、同年1月9日に北米国際自動車ショー(通称デトロイトショー)で世界デビューした、「NSXコンセプト」。その勇姿を見守るようなカタチで、初代「NSX」が並べられた。イベントには、ホンダの各部門の担当役員が出席。また、ホンダOBで初代「NSX」の開発責任者、上原繁氏も参加した。
冒頭の挨拶で、伊東紳孝社長はこう切り出した。
「最近、ホンダが元気ないと(メディアなど各方面から)言われている。(そうしたなか)この次期NSXで、“元気の約束手形”を、3年間振りだす」。
伊東氏は、この“元気の約束手形”という造語を口にする際、司会の広報担当者に目配せをした。それにより、“元気の約束手形”が、社内で十分に協議された言葉であることが推測できた。