指先をペロッと舐めるのは
幼児性の現れなのか
(あれ、開かない。やだ!)
夕方のスーパーマーケット。理佐さん(仮名・55歳)は密かに焦っていた。指がすべってレジ袋が開けないのだ。いつも携帯している折り畳みのトートバッグは、うっかり、自宅のテーブルの上に置いて来た。
サッカー台(袋詰めする台)の上にある、水を含ませたスポンジで指先を湿らせれば開けることは分っている。しかし…。
(あのスポンジ、絶対、真面目に洗ってないよね。誰が触ったか分からないのに指をつけるのって気持ち悪い)
隣の中年女性は、なんの躊躇もなく指をペロッとなめて袋を開けると、さっさと品物を詰め、出て行ってしまった。ある意味清々しい。でも…。
(それをやっちゃあ、おしまいよ)
結局、スポンジで指を濡らし、理佐さんは作業を完了させた。
(若い頃は、いつだって簡単に開けられたのに。この頃指先が乾ききって、ぜんぜん袋がくっつかないのよね。冬は特にそう。これも加齢のせいかなぁ)
OL歴30年。職場では紛れもない“大お局”だが、気持ちは「永遠の女子」の理佐さん。同期の男性まで含めて、「おじさんたち」の行為で最も許せないものの一つが「指舐め」だ。