<動画1 「重機免許取得プロジェクト」の風景>

――なんというかすごく伝わってくるものがありますね……。

西條 ものすごくニーズがありますが、支援金がないため第3弾を始めることができません。支援金さえ集まれば、またすぐにでも再開できるんです。それも400万円あれば、100名規模で実施できるんです。第1弾は企業の方々が大口の寄付をしてくださったおかげで、陸前高田市で121名の方が免許取得することができました。いまも待っている人がたくさんいます。

 僕はいますぐにでも第3弾を再開させたいので、今回出版した『人を助けるすんごい仕組み』の印税は全額「ふんばろう東日本支援プロジェクト」を中心とする復興支援に寄付させていただくことになっていますが、この「重機免許取得プロジェクト」の第3弾を開催するためにも充てる予定です。

――ダイヤモンド社も微力ながら売上の一部を寄付させていただくことになったのですが、全額寄付などということは簡単にできることではないですよね。

西條 いえ、そんなことはないと思います。僕の記事も掲載されている、糸井重里+ほぼ日刊イトイ新聞『できることをしよう。』(新潮社)も全額寄付ですし、いわゆる震災本の多くはチャリティ本になっていることも多いのではないでしょうか。どうせお金はあの世に持っていけませんし(笑)、いま困っている人のためになった方が僕はうれしいので。ただ出版社も売上の一部を寄付し続けるというのは、あまり聞かないことなので、ありがたいことだと思っています。

 それから次に立ち上げたのが「家電プロジェクト」ですね。

 日本赤十字社は、半壊した自宅に戻って暮らしている自宅避難民には家電を配布しないんです。自治体も仮設住宅には支援しますが、半壊した自宅に戻っている方や、アパートなどの借り上げ住宅で暮らす被災者の多くは対象外になっています。

 現在は、仮設住宅にはボランティア団体などの支援も行きやすいのですが、半壊した自宅に戻って暮らしている人たちが大変なんです。家電も何も与えずに自立しなさいといっても難しいですよね。

 半壊といってもイメージが湧かないかもしれませんので、この映像を見てください。これは震災から50日が経過した2011年4月末に石巻市の渡波(わたのは)という半壊エリアで僕が撮影したものです。

<動画2 半壊エリアの衝撃映像>

――これは、ひどいですね。半壊といったら床上浸水というイメージだったのですが……。

西條 そんなものじゃありません。津波は一階の屋根まできています。頑丈な家だけが一階が滅茶苦茶になりながらも残ったのです。このエリアは50日経ってもライフラインが一つも復旧していませんでした。