「どうして自分は続かないんだろう?」勉強、筋トレ、ダイエット……やる気はあるのに、気づけば三日坊主。そんな経験、一度や二度ではないという人も多いのではないでしょうか。こんな私たちの悩みに心理学の視点から解決策を導き出すのが、新刊『すぐやる人の頭の中──心理学で先延ばしをなくす』です。著者は、モチベーションの研究を専門とする筑波大学人間系教授・外山美樹氏。本稿では、本書の内容をベースに「自然と目標に向かって行動してしまう心理テクニック」を紹介します。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

「自分は大丈夫」が一番危ない…誘惑に負ける人が無意識にしているNG行動Photo: Adobe Stock

「これくらい大丈夫」と過信する人ほど、目標を達成できない

 自制心とは、誘惑に負けず、目標に向かって行動を継続する力のこと。

 例えば「スマホを見たいけど、もう少し勉強を続けよう」とか、「ケーキを食べたいけど、今日は我慢しておこう」といった場面で発揮されます。

 勉強でもダイエットでも、この自制心が成功を左右する大きなカギになります。

多くの人は、自分の自制心を過大評価している​

『すぐやる人の頭の中──心理学で先延ばしをなくす』p256より

 ところが、「ちょっとだけ動画を見て、その後また勉強しよう」というように、自分の意志力を過信してしまうと、かえって誘惑に飲み込まれやすくなります。

 本書の著者であり、モチベーション研究の専門家である外山美樹教授によると、一度、目標からそれた行動を始めてしまうと、人はなかなか中断できない傾向があるといいます。

 しかも、そこから再び元の行動に戻るには、より強い意志力やエネルギーが必要になります。

行動ではなく、「環境」を変える

 では、どうすれば先延ばしを防ぎ、行動を継続できるのでしょうか?

 重要なのは「意志の強さ」ではなく、「環境の整え方」だ、と外山教授は本書の中で強調しています。

 目の前にスマホがあれば、つい触ってしまう。甘いお菓子があれば、食べてしまう。そんなふうに、私たちの行動は「見えるもの」や「手に届くもの」に大きく左右されています。

 だからこそ、自制心を働かせる以前に、そもそも誘惑が目に入らないような環境を整えることが、最も効果的です。

 目標を達成できる人は、「自分の意志はそんなに強くない」と知っています。だからこそ、誘惑を遠ざけ、行動しやすい環境を先に整えているのです。