恩師の導き「事業は金融からだ!」
不動産営業3ヵ月でトップ獲得のカラクリ

 セカンドキャリアと向き合わざるをえなくなった時、小野はある人物に相談をしている。それが母校武蔵大の安達智彦教授だった。安達教授は、1979年に東京大学経済学部を卒業し、1988年には同大学院博士課程を修了。財団法人日本証券経済研究所を経て武蔵大学経済学部教授になった人物である。多くの企業経営にもかかわり、金融関連の書籍も多数出版している、いわば理論も実践も兼ね備えた経済学者だ。

「大学時代のゼミの先生というだけで、特別に何か関係が深かったとか可愛がられていたとかはなかったのですが、学生時代からとにかく強烈な印象がある人でしたので、西武をクビになって何となく相談しようと思って連絡したんです。そこでいきなり『大学院に来い』って言われました。そこからファイナンスと経営のことを勉強し始めたのが今の仕事の始まりです」

 武蔵大の大学院で勉強を始めた小野だったが、ビジネスの実務において、いきなり実績を残すこととなる。

「妻と子どももいたので学生に戻るのは厳しいと安達先生に言ったのですが、先生が関わっていた不動産会社を紹介してくれまして、大学院生と会社員の二足のわらじを履くことになりました。勉強するための腰掛け入社だから仕事はしなくていい、と安達先生には言われたんですが、入社3ヵ月でいきなり営業成績トップになったんですよ。じつは今まで繋がりのあったプロ野球の関係者に営業して回ったことが結果に繋がりました。プロ野球選手は収入も多い分、購入する家の価格も高い。だから1件成約した時の売り上げが大きいと考えたんです。元プロの選手には、戦力外になった球団には出入りしたがらない人も多いのですが、自分はそういう変なプライドはありませんでしたので、堂々と西武の選手に営業していました」

「正しい数字を見て判断
ファイナンスを把握すること」

 いきなり不動産の世界で商才を発揮した小野は、その後に独立。福島県のホテルと不動産会社を買収し、2010年には都内に焼き肉店、2015年には埼玉県内にとんかつをメインにしたキッチンダイニングをオープンさせるなど、その事業範囲を拡大している。また、福島のお米を売る事業を始め、年間に400トンを販売しているほか、2015年シーズンからは独立リーグの「ルートインBCリーグ」に加盟している福島ホープスのGMにも就任するなど、福島の復興支援にも力を入れている。