優秀なエリートには共通点がある。彼らは「真面目に、我慢して、一生懸命」ではなく、「ラクして速く」をモットーに、効率よく結果を出し続けている。まじめさと仕事のパフォーマンスは比例しない。24年間で5万人以上のクビ切りを手伝い、その一方で、6000人を超えるリーダー・幹部社員を選出してきた松本利明氏の新刊、『「ラクして速い」が一番すごい』から、内容の一部を特別公開する(構成:中村明博)
男の嫉妬ほど恐ろしいものはない
あなたが成果を出したことをどうアピールすればいいのでしょうか。
事実でも「私がやった」と言うと、まわりから嫌われてしまいます。怖いのは嫉妬です。男の嫉妬ほど恐ろしいものはない。600社以上、人事の裏を見てきた結論です。
嫉妬する人はどんなに仲よくしていても隙あらば、あなたを蹴落とそうと虎視眈々と狙っています。
あることないことを吹聴したり、さりげなくあなたからの依頼をミスしたり、後回しにしたりと、じわじわ攻めてきます。「まわりから嫉妬され、ハメられて左遷された」という例をいくつも見てきました。
いい人すぎてなめられても、ハメられます。クーデターはあちこちで起きているのですが、表沙汰になると恥ずかしいのか、みんな黙っているのが実情。嫉妬されずに、うまく自分の手柄をアピールするにはどうすればいいか。
「みんなでやった」と言いましょう。
仕事は1人で完結するわけではありません。関係者1人ひとりに「あなたのおかげでうまくいった。ありがとう」と感謝をすれば、相手はあなたに嫉妬しません。人は自分が落とされたり、誰かが1人だけ抜きんでたりすると嫉妬を覚えます。逆に持ち上げられると嫉妬はしません。
それどころか「いやいや、あなたのおかげです」とあなたを持ち上げてくれるのです。人には「返報性の法則」があります。相手に貢献されたら、お返ししようという心理が働くのです。まわりの100人に感謝すれば、その同じ100人分の感謝があなた1人に集まります。
任天堂には「ポケモンは私がつくった!」と言う人がたくさんいるそうです。しかし、「一番の貢献者は?」と聞けば、誰も自分1人でやったとは言わず、特定の何人かに票が集まるとのこと。
同様のことが、コンサルティングの現場改革が軌道に乗るときに起こります。「私がやった」「自分はがんばった」とたくさんの手があがるのですが、最終的には特定の数人に「どうぞ、どうぞ」と票が集まります。
組織の功労者、変革推進者は「自分でやった」とは決して言いません。「みんなでやった」と言い続けるので、まわりから「あの人がやった」と言われるのです。
ダチョウ倶楽部の上島竜兵さんに嫉妬しないように、票が集まった人に嫉妬する人はいません。私はこれを“ダチョウ倶楽部の法則”と呼んでいます。