クルマ好きは歴代スープラを型式名称で呼び、初代がA40/A50(よんまる/ごーまる)、第二世代がA60(ろくまる)、第三世代がA70(ななまる)、そして第四世代がA80(はちまる)スープラとなる。そのため、今回発表された第五世代はA90(きゅうまる)スープラとなり、展示されたレーシングカーのゼッケンナンバーを「90」とした。

なぜ、初披露がレーシングカーなのか?

 トヨタが2019年第1四半期に日本を含めた世界各国で発売開始を明言した、90スープラ。

 それにしても、なぜ、初披露が量産車のコンセプトモデルではなく、レーシングカーなのか?

新型スープラのチーフエンジニア、トヨタGR開発統括部の多田哲哉氏 Photo by Kenji Momota

 通常、スポーツカーの場合、レーシングカーは量産車が発売後に公開されるものだ。90スープラ開発総責任者でトヨタ自動車・GAZOOレーシングカンパニー・GR開発統括部チーフエンジニアの多田哲哉氏は、次のように説明した。

「これまでのトヨタのクルマ作りでは、量産車をベースとしてレースカーとしてきたので、様々なレース規則に対応させるためのコストが高くなりました。90スープラでは最初に、レースカー向けの改造規定の範囲が広い、ルマン24時間など世界耐久選手権に対応する車両規定のLM-GTE (ル・マン GTエンデュランス)で作成することを優先しました。(ドイツにあるトヨタのレーシング開発拠点である)TMGで風洞実験をしており、今回の展示車は量産車を(単純に)デコレーションしたわけではありません。

 とはいえ、現時点でどのレースに参戦するかは未定です。例えば、(日本で最も人気の高い)スーパーGTでは現在、GT500クラスにレクサスとして参戦していますが、(レクサスからスープラへ移行、またはレクサスと併存など)これから検討します。また、90スープラでのワンメイクレースを、実車やVR(バーチャルリアリティ)でのゲームなども検討しています」(多田氏)

BMWとの共同開発の裏事情

 多田氏によると、BMWのスポーツカー共同開発チームと初めて会ったのは2012年。多田氏が当時担当していた、トヨタの小型スポーツカー86の欧州メディア向け試乗会の開催中、上司から突然、「これからミュンヘンのBMW本社へ打ち合わせに行ってくれ」と命令を受けたという。